決算討論

9月17日(木)、本会議が開かれました。担当委員会で審査された結果の報告を各委員長が報告し、その後議案ごとに採決が行われ、全議案が可決されました。

平成26年度一般会計の歳入歳出決算の認定にあたり、討論が行われました。自民・公明・共産そして市民改革クラブがそれぞれ討論に立ちました。

共産は反対討論でしたが、ほかの会派は賛成討論でした。
市民改革クラブは、いながきが行いました。
その内容を、お伝えします。

第54号議案平成26年度吉川市一般会計歳入歳出決算について、市民改革クラブを代表して賛成の立場から討論を致します。

26年度決算額は、歳入総額198億3,797万3千円、歳出総額191億7,881万9千円で、歳入歳出差引額(形式収支)は6億5,915万4千円の黒字となりました。

平成25年度と比較しますと歳入で6億1,950万9千円(3.2%増)、歳出では5億9,154万円(3.2%)の増となります。また、実質収支は6億2,749万2千円の黒字でしたが、単年度収支では545万4千円の黒字となりました。

主要財務比率は、財政力指数が0.85で昨年に比べ0.01ポイント上昇しましたが経常収支比率は90.5%で2.2ポイント増、公債費負担比率も10.1%と前年より0.1ポイント上昇しました。各比率とも健全といえますが、経常経費の増加等により、財政の自由度は狭まっていると言えます。

さて、東日本大震災と津波そして福島の原子力発電所の事故から早くも4年半が経過しました。避難者は未だ19万9千人を数え、仮設住宅とみなし仮設住宅6万2千戸に13万5千人が暮らしています。その避難者の多くは、高齢や低所得などから、自力での住宅確保が難しい人々です。

原発事故による避難指示は今も9市町村の7万人に出されており、自宅に戻れず、将来も見えない中におります。原発事故は未だ終息せず、汚染水問題もコントロールされているとは言い難い状況にあります。

自民党安倍政権は、『デフレからの脱却』を目指し、金融緩和、財政政策、成長戦略を柱に政権運営を進めてきました。また、昨年7月1日、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定を行い、今年5月14日、「安全保障関連法案」を閣議決定しました。法案は翌5月15日国会に提出され、7月15日には「衆議院特別委員会」で強行採決、16日に衆議院を通過し参議院へ送られました。

現在、参議院で審議が進められていますが、戦後70年、我が国がとってきた専守防衛の「安全保障政策」を180度転換する重大な内容にも係らず、拙速かつ乱暴な議論で進められていることに多くの国民が不安を覚え、国会での慎重審議と今国会での採決を行わないように求めています。また、国会周辺をはじめ全国で「安全保障関連法案」に反対し、「廃案」と「安倍内閣退陣」を求めるデモが日に日に広がりを見せています。

こうした状況の中での9月議会、平成26年度決算審議での討論であります。

26年度は、第5次吉川市総合振興計画前期基本計画の第2期実施計画に基づき、重点テーマに沿った事業が進展を致しました。

防災では、防災・減災対策が促進され地域防災力の向上が図られました。地域防災計画と防災マップの見直し策定や市内防災倉庫に防災用資機材と備蓄物資の整備充実が図られました。

長寿命化計画に沿った共保・高久雨水ポンプ場の機械・電気設備の更新、吉川5区ポンプ場の排水ポンプ交換等も実施し、治水対策が強化されました。

また、吉川小学校体育館の耐震補強・大規模改修工事が25年度補正の繰り越しで実施され、これにより、市内小中学校施設の耐震化が全て完了しました。

子育て支援では、平成27年4月からスタートする「子ども子育て支援新制度」への円滑な移行のため、保育幼稚園課が新設されるとともに、「子ども子育て支援事業計画」が策定されました。

新たな認可保育所への整備補助は1か所で、待機児童の削減に繋げました。

高齢者福祉では、平成27年度を初年度とする第6期高齢者福祉計画・介護保険事業計画が策定されました。また、気分転換ショートステイも生活支援ショートステイと名を改め、拡充されました。

その他事業についても、PFI方式による学校給食センター整備、LED照明の計画的設置、第4次行財政改革プランの策定等、計画に沿い一定の前進があったと考えます。

市民改革クラブとしては、26年度決算に同意するものであります。

このことをまず申し上げるとともに、この際、今後の市政への要望と期待について申し上げます。

第1点は行財政改革の推進であります。

アメリカ経済の復調、ヨーロッパ金融不安の安定化、アベノミクス政策による円安・株高等から、企業収益の改善、観光客の増加、雇用、景気回復の兆しが見られます。東京オリンピック関連の事業も動きだし、経済効果が期待されています。

一方、数年前から懸念されていた、中国経済の減速・バブル崩壊が現実となり、世界的な信用不安・同時株安・大失業時代の到来等の不安は一層高まって来ています。また、中東やアフリカでの紛争による難民の大移動はヨーロッパの不安定化につながる要因となっており、日本経済ヘの影響が懸念されます。

市としては、これまで以上に徹底したコスト削減、ムダを排除し実効性のある事業の選択と集中を進め、効率的な行政運営に努めなければなりません。事務事業評価は成果と課題を明らかにするだけではなく、事業の継続・廃止・統合を見極め、次年度予算へ確実に反映されなければなりません。

第2点が市政の透明化であります。

市民改革クラブは、これまで一貫して『開かれた市政』の実現を求めてまいりました。『開かれた市政』は市民の声を謙虚に聞くことから始まり、全てをオープンにきちんと説明責任を果たすことです。

これらを前提にして、以下の具体的課題について対応を求めます。

1 新庁舎建設について

・新庁舎建設にあたっては建設費の縮減を図るため、大胆な見直しをスピード感をもって推進すること ・柔軟かつ多機能・多目的に活用できる、新時代にふさわしいモデル庁舎とすること

2地方創生

・人口減少社会での若年人口奪い合い競争ではなく、市民(住民)が幸せになるための社会の仕組みづくりの自治体間競争であること ・国の誘導や評価に従った「地方創生」ではなく、生活者である市民にとっての「ふるさと再生」を目指し、市民とともにまちづくりを進めること

3総合防災対策

・市と地域力の連携で、災害対策・防災力強化の整備を推進すること ・東日本大震災や関東・東北豪雨の経験を生かした、より実践的・具体的・対策であること。防災無線やHP等を使った情報提供の在り方についても見直しを図ること

4少子・高齢化対策

・待機児童の解消、子育て支援拡充 ・5大疾病(ガン・脳卒中・心臓病・糖尿病・精神疾患)及び介護予防・認知症予防対策は、全市的な取組・活動として推進すること ・健康増進事業は、子どもから高齢者までを対象とし、それぞれの年代に相応しい取組を行うこと ・地域包括ケアシステムの整備促進

5環境対策

・ゴミの分別・資源化を推進し減量化を図ること。特に、雑紙の資源化と生ごみの水分除去についての対策・取り組みを促進すること ・小松川工専地区での産廃業者進出対策と既存事業所の改善を進めること

6市税徴収率の改善(安定した財政基盤構築)

・税の公正・公平な負担と債権管理の適正化を促進すること ・収納率の向上と滞納額の縮減を図るため、債権管理の一元化を図ること。同時に職員の意識改革と専門性を高めること

以上。

これらの課題解決へ向けた人材の配置・活用、教育、財政措置を通じ、迅速かつ実効性ある取り組みを実施されることを期待し、賛成の討論と致します。

*先日の関東・東北豪雨で被害に遭われた皆様へのお見舞いを申し上げるとともに、豪雨対策にあたった市職員の昼夜にわたる活動に対し感謝を致しました。

 

尚、本会議の最後に請願1号 安全保障関連法案(『平和安全法制整備法案』と『国際平和支援法案』)に関する請願についても採決が行われました。

本会議で請願に賛成した議員は、市民改革クラブ2、市民党3、共産党4の合計9名。請願に反対したのは、自民6、公明3の9名で可否同数となりましたが、議長が否に回ったため不採択となりました。委員会の審査でも可否同数となり、委員長が否に回り不採択となっています。

安全保障関連法案について、賛成・反対の考え方や立場はそれぞれあると思いますが、今国会での審議を通して国民の理解と支持が得られたとは到底思えません。衆・参議院での審議を見ていても、国会議員ですら、ほとんど分かっていないと思います。安倍総理や大臣等の説明不足というより、説明すればするほど、法的根拠や必要性・有効性に疑問がもたれ、不安が広がってきたと思います。

請願は、「慎重審議と今国会での採決を行わないことを求める」という内容です。法案に賛成・反対の立場であっても、ほとんどの国民(吉川市民)が理解し支持する内容だと思います。請願に反対した自民・公明の議員は、一人の人間として良心に従い判断されたのでしょうか。