ヴィラデストガーデンファーム&ワイナリー

以前、酒売り場の担当者達と一緒に「ヴィラデストガーデンファーム&ワイナリー」を訪ねたことがあります。長野県東御市(とうみし)にあるワイナリーで、オーナーは玉村豊男さん(エッセイスト・画家)です。

長野新幹線上田駅から車で20分程の標高800mの丘にブドウ畑、野菜畑が広がっていました。当時、日本で一番小さなワイナリーと言われていました。 ブドウ畑には、「メルロー」や「シャルドネ」、「ピノ・ノワール」等のブドウの木が植えられ、カフェでは採れたて野菜を使った料理とワインを楽しむことが出来ます。

ワインの歴史やブドウの木の説明を受け、製造工程を見学した後、ランチを食べながらワインを飲みました。 ブドウ畑、野菜畑を見ながらの料理とワインは、田舎のリゾート気分。「ゆったり」とした時間でした。北アルプスの雄大な景色も望めました。

千曲川に沿った段丘に広がる畑には、若い醸造家が移り住んでいました。 元々は信州の「りんご畑」でした。高齢化と後継者不足から、「りんご」つくりが出来なくなった畑を、醸造家が買い、「ブドウ畑」に変えました。山梨から来ている方か多いようでした。

地球温暖化の影響で山梨の気温が高くなり、軽井沢から塩尻にかけての一帯が今後、日本でのワインつくりの中心になると言われていました。 フランスのボルドーより良くなるとの見通しもあり、大手企業が土地を抑えていると聞きました。 最近見たテレビでは、北海道でのワインづくりが拡大している状況を伝えておりました。 作物の「北限」がどんどん伸びています。

ブドウの木の寿命は、日本では30~40年位と言われています。ヨーロッパではもう少し長い(60年位ですが、中には100年も)ようです。つくり手が、自分の思い通りのワインをつくれるのは数十年です。

「ブドウ」は植えてから3年目で使えます。Ⅰ~2年は原料にならないそうです。一本の木に20~30房が実りますが、間引きして5~6房にします。3房でおよそ1㎏で、1本のワインになります。

食べるブドウは、ぎっしりと実が詰まっていますがワイン用のブドウは「スカスカ」の方が良いそうです。 実が詰まっていると風通しが悪く、病気が出ます。病気のブドウは、ワインの味を落とします。

ブドウの「木」は高さが190~200cmですが、「根」は地中深く15~20mにも達します。 ブドウ畑で一番大変なのは、「下草」の手入れです。畑で除草剤を使うと、固い地面になり、水が浸み込みません。 地中深く張った根が、濾過されたミネラルの豊富な水を吸い美味しいブドウになると聞きました。土の柔らかいブドウ畑から美味しいワインが生まれます。

本来、ワインの醸造は、原料のブドウ園がある所に設けられた醸造所で行います。世界のワイン生産地では、自園自醸が中心です。 日本のワイナリーの多くは、原料の大半を輸入しています。また、国産ワインの醸造でも、委託業者から原料を購入して造っています。自園自醸は少数です。

醸造家が個性的な手づくりワインを自園自醸ワイナリーで少量生産する。この流れが 急速に進んでいる様に思います。

「信州」や「北海道」が世界的な生産地になることも、そう遠くないかも知れません。温暖化の影響は、いろいろな所で現れています。