『市長給与の減額に関する条例』を否決!

6月12日(金)午前10時より始まった本会議で、『市長の給与の特例に関する条例』が否決されました。

『市長の給与の特例に関する条例』については、総務水道常任委員会に付託され、6月8日(月)に開かれた委員会で議案の審査がされました。公明、市民改革、市民党が賛成しましたが、自民と共産が反対し、可否同数となりました。委員会の委員長が反対に回ったため委員会では否決されたものです。

『市長の給与の特例に関する条例』は中原市長の選挙公約の一つで、「市長給与の減額を財源に、市民活動を支援するための基金」を作るためのものです。20パーセントを減額(月に17万円、任期中で約1,000万円の減額)し、「市民活動の促進の一部に充てたい」として提案されました。

12日の本会議では委員長報告の後、質疑と討論が行われ採決をしました。自民と共産が委員会での否決を支持したため、条例案は否決となりました。

それ以外の議案(条例の改正や補正予算等)は全て可決となりましたが、「平成27年度吉川市一般会計補正予算(第1号)」については文教福祉常任委員会と総務水道常任委員会で附帯意見が提出されました。

文教福祉では共産党議員より、『一般社団法人吉川松伏医師会との信頼関係を早期に醸成するよう求める』。総務水道では自民・みらいの議員より、『予算案決議前にも関わらず、可決を前提として広報に事業実施の掲載をした。本来、事業実施は議会にて議決を経た後に実施しなければならない。今回はその大原則を逸脱した大変重大な事件であるが、市民への影響を鑑み、以後、このようなことのないよう求める。』との内容です。

「重大な事件」と言っているのは、6月議会終了後に予定されていた「市長キャラバン」の内容を広報よしかわ6月号に掲載したことを問題にしています。「市長キャラバン」実施のため、会場借上料3万円が補正予算で提案されていますが、議会の議決を経ていない段階で広報に掲載・配布したことを「議会軽視」と非難しています。代表質問や議案質疑の中で何度も指摘をされ、市長がその都度、責任を認めお詫びしてきましたが、「お詫びで済まされる問題ではない」と出されたようです。

附帯意見についての議決は、『一般社団法人吉川松伏医師会との… 』は、全会一致で可決。『予算案決議前にも関わらず…』については、自民と共産が賛成し可決されました。6 月議会でも、自民・みらいと共産党の連携が目立ちました。

「平成27年度吉川市一般会計補正予算(第1号)」については、市民改革クラブ(いながき)と市民党(稲葉)が賛成の立場で討論。反対討論は共産党(佐藤)が立ちました。

【市民改革クラブの賛成討論(いながき)】

平成27年度吉川市一般会計補正予算について、市民改革クラブを代表して賛成の立場から討論させていただきます。

2011年3月11日の東日本大震災・東京電力福島第1原発事故から4年3ヶ月が経過しました。死者1万5,891人、行方不明者2,584人、災害関連死3,194人。仮設住宅等の入居者は、岩手・宮城・福島で7万7千戸で前年より1万3千戸減りました。避難者数は全国で22万9千人に上ります。被災地からの人口の流出・高齢化は震災前よりさらに加速し、生活再建と将来への不安は解消されておりません。福島の状況は特に過酷で、家を追われた12万人余の被害者の苦難は続いています。

先日、5月末ですが福島県のいわき市から広野町そして避難7町村で避難指示解除準備地域の楢葉町・富岡町へ行ってまいりました。住宅の除染作業が進められていますが、各地に設置されたモニタリングポストの値は高く、移動中のマイクロバスの中でも、線量計はなり続けておりました。住宅と住宅の間にある竹やぶや林の放射線量は人が生活できる環境ではないと感じました。東京電力福島第1原発の40年にわたる廃炉作業の工程はまだ緒についたばかりです。止まらない汚染水、放射性物質に汚染されたがれき等核のゴミは、行き場のないゴミとしてたまり続けています。

安倍政権は、2013年に『デフレからの脱却』を目指し大胆な金融緩和・機動的な財政政策を進めてきました。アメリカ経済の復調、EU金融危機の安定等により円安・株高となり、輸出関連企業の業績は改善、株式市場は今年に入り2 万円を超えています。公的年金による株価の下支えで、ミニバブルともいえます。暴落のXデーも近いとささやかれています。大企業を中心にベースアップやボーナス回答に影響を与え、雇用の拡大傾向も続いています。反面、実質賃金指数は下がり続け非正規の社員は2千万人を超えています。

第3の矢、『成長戦略』に対する不安や中国経済成長の減速、ヨーロッパの新たな金融不安やウクライナをめぐるヨーロッパとロシアとの対立等、混乱は続いており、日本をはじめ世界経済は必ずしも楽観できる情勢にはありません。また、中国や韓国との関係では、歴史認識や領土・領海をめぐる対立は続いています。

安倍政権は、決められない政治から決める政治への転換を図っていますが、原発の再稼働や集団的自衛権の憲法解釈の強引な見直し等、決めてほしくないことを決めようとしています。

こうした中、吉川市の平成27 度一般会計補正予算は、11億6 千万円で一般会計総額は206億5千4百万円。(前年の9.9%増)。国保や介護保険等の特別会計を加えた総額は、345億4489万円(前年の8.5%増)となっています。

先の3月議会では、いわゆる「骨格予算」を審議いたしました。今回は「肉付け予算」ともいうべき政策的、投資的予算が示されました。改めて、扶助費・公債費・人件費等の義務的経費や経常的に必要とされる経費に比べ、政策的・投資的予算の少なさを確認いたしました。少子高齢化社会の中、増え続ける市民要望に応えていくためには、事業の「選択と集中」そして施政方針の中で述べられている「共に考え、ともに働き、最少の費用で最大の効果を上げること」の実効性ある取り組みが必要かつ重要であると考えます。

27度予算全体の枠組みは、第5次総合振興計画前期計画を基本に各事業を効果的に実施していく実務充実型予算であると理解できます。

重点テーマ別にみると、【災害から市民の命と財産を守る】では、昨年に引き続き災害から市民を守る対策が強化されます。防災マップの全戸配布、民間保育施設の耐震化の促進と認可保育所・小規模保育事業所への備蓄物資や資機材の整備、災害用便槽の整備等が実施されます。総合治水対策事業では、木売落しを活用した貯留施設整備の着手、共保・高久雨水ポンプ場の機械・電気設備の更新が実施されます。

【子育てしやすいまちをつくる】では、新たな民間保育施設の整備促進で29年度の待機児童ゼロをめざすことを確認。また、学童保育の拡充や子育て支援センターの拡充、児童虐待予防の充実が図られます。

【まちの住みよさと魅力を高める】では、ふるさと納税の取り組みを地域振興とシティプロモーションと合わせて実施。吉川美南駅隣接の武操跡地周辺開発地区60haについては、吉川市発展の新たな核として28 年度中の都市計画決定を目指し、調整が進められます。この他、介護保健では第6期介護保険事業計画がスタートしました。団塊世代が後期高齢者となる2025年を見据えた計画の位置づけとなるもので、地域の未来を考えたより具体的な『地域包括ケア計画』となっています。さらに、「健康・体力づくりポイント制度」の導入や「健康長寿埼玉モデル普及促進事業・毎日1 万歩運動」の推進等、健康づくり、介護予防につながる取組みも始まります。

意欲的な取り組みとしてまず驚かされたことは、吉川駅前コア1階に『期日前投票所』の設置を決めたことです。この他、職員採用試験に「社会人枠」を設けることや新たな市民参加の仕組みとして「市民シンクタンク」「地区担当官」の配置があげられます。また、市庁舎建設・吉川美南駅東口整備・中学校建設の三事業について、直接市民との意見交換を行う場として「市長キャラバン」を実施することは、「共に考え、ともに働き、最少の費用で最大の効果を上げること」に繋がる取り組みであると評価できます。

第5次総合振興計画に沿って、一歩ずつ着実に進めて行く姿勢が感じられる予算であると受け止めています。このことをまず申し上げるとともに、いくつかの課題について速やかに改善・対応を図られるよう求める点について申し上げます。

第1点は市指定医療機関から除外問題の解決です。今回、三医療機関との「個別契約」の締結により、市民が、『区域外接種』の為に不必要な負担を強いられ別の医療機関での接種や検診を余儀なくされている状況は改善されましたが、抜本的な解決とは言えません。いまだ続いている異常事態の収拾を図り、市民の不安を取り除くことが必要だと考えます。また、「子宮がん検診」についても希望するクリニックで受診できるよう求めます。

第2点は、税の徴収についてです。「持続可能な財政運営」と「税の公平性」という観点から、「収納率の向上と滞納額の縮減」を行う為の効果的な取組を求めます。以前より提案している、「債権回収対策室」等の専門部署の設置が必要と考えます。

最後に申し上げたい点は、『行財政改革のさらなる推進と効率的な行政運営に努める』ことです。同時に、国の緊急財政出動に合わせたタイムリーな事業展開を実施するとともに、吉川市としての「地方創生」について、しっかりと地に足の着いた議論を通して、地域資源の掘り起こしと活用を図らなければなりません。「三位一体」、一丸となって新たな「まちづくり」に取組まれるよう期待とお願いをし、賛成の討論といたします。