国家の「正義」

昨日は2001年米同時テロ、9.11から20年を経たアメリカ合衆国の様子が伝えられました。
ニューヨークの世界貿易センタービルにハイジャックされた旅客機が突入し、2977人の方が亡くなりました。犠牲者の中に日本人は24人おりました。

ツインタワービルが崩落し通りにいる人々が一斉に逃げまどう街の姿は、映画のワンシーンのようで信じられない思いで私もテレビを見ていました。背筋が凍り付くようでした。

同時テロをきっかけに始まったアフガニスタン戦争は、先月(8月)末に米軍が撤収し終わりましたが、この事件の容疑者の裁判は続いています。

昨夜9時からNHK総合テレビで、「NHKスペシャル 911同時多発テロ20年  遺族と元捜査官が追及  サウジ関与の疑惑とは 立ちはだかる国家の壁」が放映されました。

テロで家族を失った方々と支援してきた元FBI捜査官の20年間の活動です。『夫や家族がなぜ死ななければならなかったのか、テロの目的や背景、実行犯がどんな人たちで誰の支援を受けて事件を起こしたのか』。その真実を求めてきた姿を描いていました。

取り組みの中心は「情報開示」です。政府に対し、事件の真実を明らかにするため「情報開示」を求めてきました。歴代のブッシュ・オバマ・トランプ大統領は皆、最も重要な部分については開示しませんでした。理由は国家の「安全保障」に係わる。ということです。

焦点は事件とサウジの関与についての疑惑です。実行者の背後で支援をしてきたのがサウジアラビアではないのかという点です。実行犯19人のうち15人がサウジアラビア人。うち2人がアメリカの飛行学校で訓練を受けていましたが、2人と接触し支援していた人とサウジアラビア大使館関員との関係です。両者は深いつながりがあり、FBIが調査しました。しかし、肝心の内容は明らかにされていません。

サウジアラビアはアメリカにとって、中東での最大の理解者・協力国であると同時にアメリカの軍事産業を支えている国です。武器購入は事件後、最大で10倍にもなり、現在でもサウジが武器を買わなくなったらアメリカの軍事産業は崩壊し、経済は大混乱すると言われています。

事件当時のアメリカ政府元高官がNHKの取材に対し、「大国は相手が専制国家であろうが、自国の安全と経済を守るためには鼻をつまんで相手と握手する」といった趣旨の発言をしていました。衝撃的な発言でした。

真実を明らかにし「正義」を求める国民・個人に対し、国家の「正義」が立ちはだかっています。

*実行犯とされる被告(容疑者)の裁判はいつ終わるのでしょうか。拷問で得られた証拠以外の証拠を積み上げ、判決を下すときサウジとの関係は明らかにされるのでしょうか。