対韓輸出の規制

トランプ米大統領が朝鮮労働党 金 正恩委員長と電撃的に板門店で会談を行った翌7月Ⅰ日、政府は半導体材料3品目の対韓禁輸を発表しました。

7月4日から、輸出手続きでの簡略化をする「優遇措置」の対象から韓国を外すという。

元徴用工問題、自衛隊へのレーダー照射そして元慰安婦の「和解・癒し財団」の解散について、解決へ向けた対応をしない韓国への対抗措置とされています。

政府は、「信頼関係に基づく輸出管理の継続が困難と判断。安全保障の観点から見直すもので、対抗措置ではない」としていますが、韓国も、日本でも信じる人はいません。

韓国側は、「撤回しなければ、WTOへの提訴をはじめ対抗措置を取る」、「元徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じた、韓国最高裁の判決に対する経済的な報復」、「民主主義の原則に照らして常識に反する」、「相応の措置を検討する」等、の主張をしています。

韓国の主要産業である「半導体」をネライ撃ちにした措置であることは明確ですが、米中通商紛争のあおりで低迷している輸出にさらに追い打ちをかけたことになります。

これまでの韓国の反応・指摘は、政府の想定内のことだと考えられますが、しかし、問題はこれからだと思います。

6月29日に閉幕した主要20ヶ国首脳会議で、自由貿易の重要性と反保護主義を掲げてきた日本に対し、世界から批判が集まることやWTO違反の声が高まる恐れがあります。
また韓国程ではないとしても、国内の電気・自動車・精密機械、半導体製造装置業界などへの影響が出てきます。さらに、将来的には半導体材料の調達先を日本以外の国へ変更することも考えられます。

解決が長引けば、日本・韓国ともに疲弊し関係がさらに悪化することは当然です。

「この際、徹底的にやれ」。「報復は即時撤回せよ」という考えがありますが、どちらも難しい感じです。

「官邸」の強い意向で出された措置のようですが、「官邸」はこの後の対応をどこまで考えているのでしょうか。

【7月7日追記】それにしても、実質的に禁輸となる7月4日は参議院選挙の告示日です。昔から、国民の目を海外に向けさせ国内の問題からそらすのは常とう手段ですが、この時期にやる意味がありません。強い安倍政権をアピールし、ナショナリズムを喚起するためて゛しようか。

韓国もよく分かりません。現政権に限らず支持率が下がると日本を敵対視してバッシングを繰り返します。また政権が変わると、前の大統領や関係者を逮捕したり、自殺に追い込む変な民主国家です。

日本の司法も完全に独立しているとは言い難いですが、韓国最高裁の判断は余りにも時の政権に忖度していると思います。

国際関係、外交の基本は「合意は拘束する。約束は守らるべし」です。国と国の間で交わした約束事は、政権が変わっても守らなければなりません。

「和解・癒し財団」の一方的な解散(6月)もおかしなことです。

そうは言っても、そんな国が隣にあり、長い歴史の中でお互いに影響を与えてきました。現在は、部品を相互に供給して生産活動を行う(水平貿易)関係です。パナソニックやソニーがLG製有機ELパネルを使ってテレビを生産しています。いろいろな産業でそれが進んでいます。

この問題で報復が報復を生み続けて行けば、韓国経済は破滅的な危機に陥ると思います。アメリカ・中国の介入や、「のっびきならぬ事態」へ行く前に解決をしなければなりません。

日本には、「大人の対応」が求められるのではないでしようか。