3月17日、国際刑事裁判所(ICC)がロシアのプーチン大統領とマリア・リボワベロワ大統領全権大使(子どもの権利担当)に逮捕状を出しました。
容疑はウクライナの占領地で孤児となった子ども16,000人をロシアに連れ去った戦争犯罪行為に関与した疑いです。
両親と一緒に移送された子どもを含めると15万人近いといいます。
ロシアへの同化を狙った「国家ぐるみの拉致」「戦争犯罪」です。愛国教育を受けさせ、養子縁組をすすめ、ロシア人として兵士にするのでしょうか。
これまで、ウクライナへ戻れた子どもは300人余と伝えられています。
ロシア側からすれば孤児を救うために避難させたと言っているようですが、非戦闘員の親が殺害され孤児になった子やキャンプへ送られた後、強制的に移送させられた子ども達も多数いるようです。彼ら彼女らは、自らの望んでロシアに行った訳ではありません。
今の時代にこれ程恐ろしいことを平然とやる、ロシアという国の指導者の考えが理解できません。
国際刑事裁判所(ICC)は、集団殺害犯罪や人道に対する犯罪など最も深刻な国際犯罪を犯した個人を国際社会そのものが直接裁く史上初の常設の国際刑事裁判機関です。
国際司法裁判所(ICJ)は、国家間の紛争を裁く国連の司法機関ですが、ICCは条約に基づいて設立された国連とは別の独立した国際機関で、個人の「戦争犯罪」を追及し裁きます。成り立ちや役割が全く異なる機関ですが、混同されやすい組織です。
ICCは、2002年に設立され現在123か国が加盟しています。日本は加盟していますが、米・ロシア・中国・インドなどは未加盟です。逮捕状の効力は加盟国にしか及ばず、未加盟国には身柄引き渡しの義務もありません。加盟国であっても実状は、身柄引き渡しをしない(出来ない)ところもあります。
プーチン大統領らへの逮捕状に、欧米各国では相次ぎ支持を表明していますがロシアは、「言語道断で無効」だと主張しています。
実際に逮捕したり裁判にかけることは難しいことですが、ロシアにこれ以上の「戦争犯罪」をさせない抑止力になると思います。少なくとも今後、プーチン氏らがICC加盟国へ行くことは相当難しいことになります。
子どもの連れ去り(拉致)は、時間が経過するほど戻ることが難しくなります。国民の生命・財産・人権を守るのが国家の基本的役割です。最大限の努力で一日も早く解決を図るよう望みます。