ワクチン接種問題、「個別契約」へ

「個別契約」と「医師会」との関係について、多くの議員が質問に立った。中原市長が、「区域外接種」による母親たちの不必要な負担をなくすため、4月から市内の3医療機関と予防接種について、「個別契約」を結んだことに対する質問でした。

代表質問・一般質問・委員会での質疑を要約すると、『中原市長が、医師会との合意がないまま3医療機関と個別契約を結んだことは、医師会との信頼関係を失い市民へのリスクをもたらす』、『関係悪化ではなく醸成を図るべき』と言った内容でした。『個別契約は白紙に戻せ』等、驚くべき主張も見られました。

私は議会の一般質問で繰り返し、緊急避難的措置として「個別契約」を結ぶよう戸張前市長に提案し強く求めてきました。「区域外接種」という異常事態を解消するためです。
それに対し、前市長・健康福祉部長は、『除名された医師と「個別契約」を結ぶことは、医師会との信頼関係を損なうばかりか、保健事業にとどまらず他の事業への影響、リスクが懸念される』と、要求を頑なに拒否し続けました。そして、医師会内部の対立、権力闘争の結果としての除名、市指定医療機関からの排除。こうした事態の収拾を図ろうとせず、その責任は全て、除名された医療機関にあるとしました。医師会(執行部)の主張を代弁してきたのが、これまでの市の基本的態度、対応でした。自民・公明・共産もこれを支持してきました。『大久保クリニックで公費予防接種と公費助成の子宮ガン検診が受けられるように求める請願』を不採択としました。

今回の自民・公明・共産党議員らの質問は、この延長線上にあると思います。『医師会の承諾も得ずに、個別契約を結んだのはおかしい。医師会との信頼関係を失い、今後市の医療行政への協力が得られない。』との主張は、これまで自分たちが言ってきたこと、行ってきたことからすれば当然かもしれません、

私は、違うと思います。これまでも同じことを何度も言ってきましたが、そもそも、「予防接種事業」は市民の税金を使い、市民のために市が行う保健事業です。どのようなやり方でやるかは、市が決めることで、医師会が決める事ではありません。まして、若い母親たちを困らせ、負担と不安を強いる「区域外接種」ではなく、『今まで通り予防接種が受けられるようにしてほしい』、『医師会の内部対立のツケを市民に回さないでほしい』という市民の願いです。異常事態を解消するのは市長として当然のことです。

4月15日から4月30日までの15日間に、大久保クリニックで81件の予防接種があったそうですが、市民の願いの大きさが分かります。これまでは一世帯で2万円~9万円の立て替え払いがありました。

また、信頼関係というのは一方通行の関係ではありません。市と医師会、市民と医師会、市民と市、三者間の関係です。吉川・松伏医師会は、昨年2月27日、公正取引委員会より独占禁止法で再発防止を命じる「排除措置命令」処分を受けました。

医師会は、インフルエンザ予防接種価格について、『推奨価格を決めていたものであくまで目安、強制はしていない。』と主張していましたが、公取は独禁法違反としました。全国で2例目(一例目は四日市医師会)となる事件でした。当日、NHKの全国ニュースでもトップニュースとして取り上げられ、吉川市の名前を全国に知らしめました。その後医師会は新聞に、『公取の指示に従い、自由診療でやります』と告知しました。しかし長い間カルテルを結び、市民に迷惑をかけていたことについての「お詫び」はありませんでした。吉川市から医師会に対する具体的な処分もありませんでした。こうした状況の中で、市と医師会、医師会と市民との信頼関係は取り戻せたのでしようか。

昨年の3月5日、東京地方裁判所で医師会からの除名処分についての(原告らが被告の会員たる地位を有することを確認する裁判)の証人尋問が行われました。大久保医師、石井医師、平井医師が証人として出廷しました。医師会の代表として平井医師は、「個別契約」の締結について、『医師会としては、市の決定に従う。』、個別契約したら『協力はしないとは言っていない。』と証言しました。

当然のことです。平成22年1月改正の「医師会の活動に関する独禁法上の指針」の中で、「医師会が団体として会員又は非会員が開設している特定の医療機関の事業活動の内容に対して、不当差別的な取扱いをしたり、不当な圧力を加える場合には、原則として違反となる」とし、参考例として「会員または非会員の行政機関等からの委託事業の受託について、これを不当に妨害すること、また健康保険医療機関等の指定について、非会員が指定を受けることを不当に妨害すること」等を挙げています。

奈良県生駒市では、県医師会と契約していた妊婦健診を市内の産婦人科医と個別契約しました。その時、県医師会が地域の医師会や産婦人科医に、『市から要請があっても応じないように』との通知を出して公取から注意を受けました。市は市民の利益を守るため「個別契約」を実施しました。

3月9日から4月8日の1か月間に5回、医師会と市は話し合いを行ったそうですが、市長は、『まだ医師会のご理解は得られていない状況です』と答えています。それはなぜでしょうか。医師会は、「個別契約」になぜ反対されるのでしょうか。もっとオープンに、自らの言葉で市民に説明頂きたいと思います。そうでなれれば、市民には分かりません。理解は得られません。市と医師会そして除名された医師は、胸襟を開いて話し合いをしたらどうでしょうか。感情的対立と憎しみ、相互不信が続いて困るのは我々市民です。

弱い人々を手助けするのが政治。声の小さい、力のない人の立場・状況を自分の問題として捉え、寄り添い、一人の市民として良心に従い考え行動するのが議員としての役割だと思います。声の大きな団体・組織の利益を守るのが仕事ではありません。『市民の利益を守る』ことが行政と議会・議員のもっとも大切な仕事ではないでしょうか。市が果たす役割は大きいと思います。

「マルサン」による騒音・振動・悪臭被害も、「子宮頸がんワクチン」による副反応の被害者も同じだと考えています。

 

「議会」がオモシロくなってきました!

6月2日(火)に始まった6月議会は17日(水)に終わりました。15日(月)~17日(水)は一般質問でしたが、19人の議員のうちなんと17人が質問に立ちました。議長を除くとやらなかったのは1人だけでした。

来年の「市議会議員選挙」への意識もあると思いますが、何といっても市長が交代したことが最大の理由だと思います。いつになく、全体を通して活発に質問が行われた議会でした。
前市長の4期16年間を市長与党として支えてきた自民・公明が、中原市長の姿勢と力量を見極め、今後どのような立場で臨むのかを考えるための議会だったと思います。また、共産党を含め自分たちの力と存在感を誇示し、市長への影響力を確保したいとの思惑が見え隠れする16日間でした。

議場は連日、傍聴者で満員となり、委員会での審査にも市民の姿が見られました。傍聴人のお陰で、居眠り議員と品位のないヤジは大幅に減りました。活発な質問を通して、議員の資質とスタンスが少し明らかにされたと思います。

私から見ると、自民・公明・共産も相当頑張っていたと思いますが、傍聴に来られた方からは、『これほど、ヒドイ議会だとは思っていなかった』との、厳しい意見を頂きました。

代表質問・議案質疑・一般質問を通して、中原新市長に対し批判的な質問が繰り返されたことや、稚拙な質問やおかしな議会運営を見てそう感じたようです。吉川市議会の課題が浮き彫りになった議会でした。

市長の「施政方針」に書かれていること全般について質問がされました。特にフロリデーションの問題や「個別契約」の締結と医師会との関係、新庁舎建設の見直し、第四中学校建設、吉川美南駅東口周辺開発、地方創生の他、市長給与の削減と市長キャラバン等に質問が集中しました。

「施政方針」や、選挙戦での「公約」に関連したことを質問し、それらに対する意見や批判を述べるのは議員として当然の事だと思います。まして、これまでの体制をひっくり返した市長です。フロリデーションや予防接種問題では、自分たちが言ってきたことと違う立場に立って選挙戦を戦い民意を得た人です。身の置き場のない議員達が、出来るだけ痛い所を追及し、困らせてやりたいと質問するのはもっともです。動機や内容を別にすればスゴイことです。議員になって初めて事前に勉強して質問に立った議員もいたと思います。しかし、市長になる前に書いたブログやウワサ話まで持ち出して、批判、追及するのは間違っていると思います。議員というより、人間としての「品性」の問題だと思います。

「市長キャラバン」の内容を議会での予算成立前に、「広報よしかわ」に掲載した問題では、ミスを指摘しお詫びを何度をさせていました。ミスを認めお詫びをすると、『謝って済む問題ではない』、『予算の取下げを検討すべき』等、さらに要求はエスカレートしました。

以前、多重債務者のことを調べたことがあります。50万や100万円の借金でなぜ簡単に自殺をしてしまうのか、その原因を考えました。結論は、1か所からの借金でないからです。多重債務は数か所・数十ヶ所からの借り入れで、「自転車操業」状態になります。毎日そのやり繰りに追われ、心が休まりません。滞った時は、一斉に取り立てが始まり責められます。普通の人は、そのストレスに耐えられません。住宅ローンで1千万・2千万円借りていたとしても、1社・2社からの借り入れであれば、返済は計画的であり、見通しが立てられます。平穏に仕事をし、落ち着いた生活を送ることが出来ます。多重債務者は、その逆の環境に身を置くことになります。

仕事でも勉強やスポーツでも「ダメだ!」と繰り返し言い、責め続けるとその人は本当にダメになります。それも一人ではなく何人にも言われると、心と身体が持ちません。気持ち(心)が勝っても、身体が負けてしまいます。小さなことを大きな問題として責め立てるのは、反社会的勢力や悪質クレーマーの手口で、大体このやり方です。

中原市長は全ての質問に、一つづつ丁寧に答えていました。正面から誠実に答えていると感じました。訳の分からない質問に対しても、質問者の意図を考え、質問内容まで分かるような答弁をしていました。相当、疲れたと思います。でも、この程度で負けるようでは市長としての力量がないということです。中原さんは、柔ではないので負けないと思います。まっとうではない質問については、ウナギのようにするりと抜けても良いと思います。

議会の伝統的手法。気に入らない相手には、小さなことであってもミスを追及し、問題を拡大し、お詫びをさせ責任を取らせる。仲間が重大なミスを犯しても、大した問題ではないと取り上げない。どこの議会にも手練手管に長けた人はいます。品位のない方もいます。
議会は数で決まります。白いものを黒、黒も白となる世界です。議長や委員長は本来、中立的な立場で審議を進めなければいけませんが、ここ数年、党利党略で進められることが多いように思います。

6月議会は、傍聴者がいっぱいでしたので、私の発言に対する訂正・お詫びを求められることはありませんでした。よっぽどのことがない限り、私が執行や他の議員に挑発的な発言をすることはありません。相手の真意を引き出すため、意図的に発言することはあります。普段は、取るに足らないことを問題にされることが多いと感じます。
驚いたことに、自民議員の質問に対し、『通告外です』という議長の発言が数回ありました。今まで我々に乱発してきた言葉ですが、自民議員に発したのは、初めて目にする光景でした。やはり、「市民の目」の力の大きさ、大切さをを改めて実感しました。市長が代わり、市民の意識も変化してきている様に感じます。「議会の常識は世間の非常識」、「井の中の蛙」と言われぬよう、議会も少しは頑張らないと市民から見放されてしまいます。

フロリデーションの問題や医師会との関係等では、外からの圧力・影響を感じます。また、消防の「救命士殴打事件」については相変わらずナーバスな取扱いです。何としても、吉川市議会では一言も触れられないようにしています。会派や議員一人一人のスタンスが見えてきました。良いことです。

御多用の中、連日傍聴にいらしていただいた皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

「議会」はますます、オモシロくなってくると思います。

 

『市長給与の減額に関する条例』を否決!

6月12日(金)午前10時より始まった本会議で、『市長の給与の特例に関する条例』が否決されました。

『市長の給与の特例に関する条例』については、総務水道常任委員会に付託され、6月8日(月)に開かれた委員会で議案の審査がされました。公明、市民改革、市民党が賛成しましたが、自民と共産が反対し、可否同数となりました。委員会の委員長が反対に回ったため委員会では否決されたものです。

『市長の給与の特例に関する条例』は中原市長の選挙公約の一つで、「市長給与の減額を財源に、市民活動を支援するための基金」を作るためのものです。20パーセントを減額(月に17万円、任期中で約1,000万円の減額)し、「市民活動の促進の一部に充てたい」として提案されました。

12日の本会議では委員長報告の後、質疑と討論が行われ採決をしました。自民と共産が委員会での否決を支持したため、条例案は否決となりました。

それ以外の議案(条例の改正や補正予算等)は全て可決となりましたが、「平成27年度吉川市一般会計補正予算(第1号)」については文教福祉常任委員会と総務水道常任委員会で附帯意見が提出されました。

文教福祉では共産党議員より、『一般社団法人吉川松伏医師会との信頼関係を早期に醸成するよう求める』。総務水道では自民・みらいの議員より、『予算案決議前にも関わらず、可決を前提として広報に事業実施の掲載をした。本来、事業実施は議会にて議決を経た後に実施しなければならない。今回はその大原則を逸脱した大変重大な事件であるが、市民への影響を鑑み、以後、このようなことのないよう求める。』との内容です。

「重大な事件」と言っているのは、6月議会終了後に予定されていた「市長キャラバン」の内容を広報よしかわ6月号に掲載したことを問題にしています。「市長キャラバン」実施のため、会場借上料3万円が補正予算で提案されていますが、議会の議決を経ていない段階で広報に掲載・配布したことを「議会軽視」と非難しています。代表質問や議案質疑の中で何度も指摘をされ、市長がその都度、責任を認めお詫びしてきましたが、「お詫びで済まされる問題ではない」と出されたようです。

附帯意見についての議決は、『一般社団法人吉川松伏医師会との… 』は、全会一致で可決。『予算案決議前にも関わらず…』については、自民と共産が賛成し可決されました。6 月議会でも、自民・みらいと共産党の連携が目立ちました。

「平成27年度吉川市一般会計補正予算(第1号)」については、市民改革クラブ(いながき)と市民党(稲葉)が賛成の立場で討論。反対討論は共産党(佐藤)が立ちました。

【市民改革クラブの賛成討論(いながき)】

平成27年度吉川市一般会計補正予算について、市民改革クラブを代表して賛成の立場から討論させていただきます。

2011年3月11日の東日本大震災・東京電力福島第1原発事故から4年3ヶ月が経過しました。死者1万5,891人、行方不明者2,584人、災害関連死3,194人。仮設住宅等の入居者は、岩手・宮城・福島で7万7千戸で前年より1万3千戸減りました。避難者数は全国で22万9千人に上ります。被災地からの人口の流出・高齢化は震災前よりさらに加速し、生活再建と将来への不安は解消されておりません。福島の状況は特に過酷で、家を追われた12万人余の被害者の苦難は続いています。

先日、5月末ですが福島県のいわき市から広野町そして避難7町村で避難指示解除準備地域の楢葉町・富岡町へ行ってまいりました。住宅の除染作業が進められていますが、各地に設置されたモニタリングポストの値は高く、移動中のマイクロバスの中でも、線量計はなり続けておりました。住宅と住宅の間にある竹やぶや林の放射線量は人が生活できる環境ではないと感じました。東京電力福島第1原発の40年にわたる廃炉作業の工程はまだ緒についたばかりです。止まらない汚染水、放射性物質に汚染されたがれき等核のゴミは、行き場のないゴミとしてたまり続けています。

安倍政権は、2013年に『デフレからの脱却』を目指し大胆な金融緩和・機動的な財政政策を進めてきました。アメリカ経済の復調、EU金融危機の安定等により円安・株高となり、輸出関連企業の業績は改善、株式市場は今年に入り2 万円を超えています。公的年金による株価の下支えで、ミニバブルともいえます。暴落のXデーも近いとささやかれています。大企業を中心にベースアップやボーナス回答に影響を与え、雇用の拡大傾向も続いています。反面、実質賃金指数は下がり続け非正規の社員は2千万人を超えています。

第3の矢、『成長戦略』に対する不安や中国経済成長の減速、ヨーロッパの新たな金融不安やウクライナをめぐるヨーロッパとロシアとの対立等、混乱は続いており、日本をはじめ世界経済は必ずしも楽観できる情勢にはありません。また、中国や韓国との関係では、歴史認識や領土・領海をめぐる対立は続いています。

安倍政権は、決められない政治から決める政治への転換を図っていますが、原発の再稼働や集団的自衛権の憲法解釈の強引な見直し等、決めてほしくないことを決めようとしています。

こうした中、吉川市の平成27 度一般会計補正予算は、11億6 千万円で一般会計総額は206億5千4百万円。(前年の9.9%増)。国保や介護保険等の特別会計を加えた総額は、345億4489万円(前年の8.5%増)となっています。

先の3月議会では、いわゆる「骨格予算」を審議いたしました。今回は「肉付け予算」ともいうべき政策的、投資的予算が示されました。改めて、扶助費・公債費・人件費等の義務的経費や経常的に必要とされる経費に比べ、政策的・投資的予算の少なさを確認いたしました。少子高齢化社会の中、増え続ける市民要望に応えていくためには、事業の「選択と集中」そして施政方針の中で述べられている「共に考え、ともに働き、最少の費用で最大の効果を上げること」の実効性ある取り組みが必要かつ重要であると考えます。

27度予算全体の枠組みは、第5次総合振興計画前期計画を基本に各事業を効果的に実施していく実務充実型予算であると理解できます。

重点テーマ別にみると、【災害から市民の命と財産を守る】では、昨年に引き続き災害から市民を守る対策が強化されます。防災マップの全戸配布、民間保育施設の耐震化の促進と認可保育所・小規模保育事業所への備蓄物資や資機材の整備、災害用便槽の整備等が実施されます。総合治水対策事業では、木売落しを活用した貯留施設整備の着手、共保・高久雨水ポンプ場の機械・電気設備の更新が実施されます。

【子育てしやすいまちをつくる】では、新たな民間保育施設の整備促進で29年度の待機児童ゼロをめざすことを確認。また、学童保育の拡充や子育て支援センターの拡充、児童虐待予防の充実が図られます。

【まちの住みよさと魅力を高める】では、ふるさと納税の取り組みを地域振興とシティプロモーションと合わせて実施。吉川美南駅隣接の武操跡地周辺開発地区60haについては、吉川市発展の新たな核として28 年度中の都市計画決定を目指し、調整が進められます。この他、介護保健では第6期介護保険事業計画がスタートしました。団塊世代が後期高齢者となる2025年を見据えた計画の位置づけとなるもので、地域の未来を考えたより具体的な『地域包括ケア計画』となっています。さらに、「健康・体力づくりポイント制度」の導入や「健康長寿埼玉モデル普及促進事業・毎日1 万歩運動」の推進等、健康づくり、介護予防につながる取組みも始まります。

意欲的な取り組みとしてまず驚かされたことは、吉川駅前コア1階に『期日前投票所』の設置を決めたことです。この他、職員採用試験に「社会人枠」を設けることや新たな市民参加の仕組みとして「市民シンクタンク」「地区担当官」の配置があげられます。また、市庁舎建設・吉川美南駅東口整備・中学校建設の三事業について、直接市民との意見交換を行う場として「市長キャラバン」を実施することは、「共に考え、ともに働き、最少の費用で最大の効果を上げること」に繋がる取り組みであると評価できます。

第5次総合振興計画に沿って、一歩ずつ着実に進めて行く姿勢が感じられる予算であると受け止めています。このことをまず申し上げるとともに、いくつかの課題について速やかに改善・対応を図られるよう求める点について申し上げます。

第1点は市指定医療機関から除外問題の解決です。今回、三医療機関との「個別契約」の締結により、市民が、『区域外接種』の為に不必要な負担を強いられ別の医療機関での接種や検診を余儀なくされている状況は改善されましたが、抜本的な解決とは言えません。いまだ続いている異常事態の収拾を図り、市民の不安を取り除くことが必要だと考えます。また、「子宮がん検診」についても希望するクリニックで受診できるよう求めます。

第2点は、税の徴収についてです。「持続可能な財政運営」と「税の公平性」という観点から、「収納率の向上と滞納額の縮減」を行う為の効果的な取組を求めます。以前より提案している、「債権回収対策室」等の専門部署の設置が必要と考えます。

最後に申し上げたい点は、『行財政改革のさらなる推進と効率的な行政運営に努める』ことです。同時に、国の緊急財政出動に合わせたタイムリーな事業展開を実施するとともに、吉川市としての「地方創生」について、しっかりと地に足の着いた議論を通して、地域資源の掘り起こしと活用を図らなければなりません。「三位一体」、一丸となって新たな「まちづくり」に取組まれるよう期待とお願いをし、賛成の討論といたします。

6月議会が始まりました

6月議会が2日(火)から始まりました。2日は本会議。議案上程に先立ち、中原市長より平成27年度施政方針演説がありました。 『施政方針』は、今年度の市政運営にあたり市長の基本的姿勢・考え方・決意を明らかにし、27年度の重点施策について説明するものです。

『施政方針』の全体の構成、流れは今までと変わりません。重点施策も、「吉川市第5次振興計画前期基本計画」に沿ったものですが、随所に中原色が出ています。 基本的姿勢で、「価値ある未来を、共に」やこれからのまちづくりには、「共に考え、共に働き、最小の費用で、最大の効果を上げること」。人口7万人の吉川市だからこそできる「顔と顔を合わせた中での家族のような連帯」が「まちづくり」の鍵だと表明しています。

また、27年度の重点施策の中では、目の前の課題として、「市庁舎建設」「吉川美南東口整備」「中学校建設」の3事業を挙げ、市民との直接の意見交換のため6月議会終了後、「市長キャラバン」を実施したいとの考えを示しました。 その他、「市民シンクタンク」「地区担当官」「市民劇団の創設」そして、職員採用試験に「社会人枠」を新設等、予算との連動はありませんが中原さんの思いが見られます。

施政方針演説を受けて翌3日(水)、代表質問がありました。市民改革クラブ(伊藤)・公明党(小野)・共産党(佐藤)・自民未来(中嶋)の順に質問がおこなわれました。各派の質問は、『施政方針』に書かれていることの全般にわたっていますが、「市庁舎建設」「吉川美南東口整備」「中学校建設」「地方創生」や「市民シンクタンク」「地区担当官」「市民劇団の創設」「市長給与の削減」の問題に集中していました。公明党と共産党は予防接種の個別契約と吉川・松伏医師会との関係について質問をしています。自民党は5日(金)の議案質疑の中で予防接種と医師会問題を取り上げました。

市長が代わると随分と変わるものだと感じます。2日・3日は9時半頃から多数の市民が来庁し、傍聴席はいっぱいに。入りきれない方は、別館2階の会議室で音声だけの傍聴となりました。今まで、「小松川産廃業者進出」「フロリデーション」や「予防接種」問題の時、ほぼいっぱいのことがありましたが、私が見る限り、今回が最も多い傍聴者だったと思います。しかし、何より変わったのは議会だと思います。

自民と公明は、「野党」としての雰囲気が出てきいる様に感じます。代表質問では、疑問点や問題点について具体的に指摘したり聞いたりしています。市長を褒め讃え、賛同・賛成を表明していた頃とは違う雰囲気です。今まで議案審議での自・公の質問はあまり聞いたことがありませんが、6月議会では、自民が市長提出議案の条例や一般会計補正予算について質問をしています。議員になって8年目ですが、初めて質問に立った自民党議員の姿には驚きました。

5日(金)議案質疑の午後、議事再開した途端に議長が「休憩」を宣言した。何のことか分からず控室で待っていると、議会運営委員会を開催するとの連絡が入った。議長室へ行くと午前中の質疑の中で、加藤議員(自民)の質問に対する市長の答弁が「反問権」に近いのではないかとのことだった。昼休み中に自民・未来、公明、共産から申し出があり議運を開いたという。私が、『問題を話し合う前に、議長の進め方はおかしいのでは』と聞いた。『いきなり、何の説明もなくただ休憩を宣言し、議運を開くやり方はおかしい。傍聴に来ている方々だけでなく、議員である我々にも失礼ではないか。自民・公明・共産は事前に分かっているから当然のこととしているようだが』と言った。それに対し、自民・公明・共産は声をそろえて、『まったく問題はない。議長の対応は正しい。議長の権限。』を繰り返す。挙句の果てに、『市長の答弁を聞いているんだから、そんなことは言わなくても分かるはずだ』という始末。

「反問権」に近いのでは?と問題にされた市長答弁は、『まず、今回の件に関して加藤議員の立ち位置、考え方を明確にしていただいた上での議論の方が、より深い議論となると思いますし、それを市民に公開し、関心を持ってもらう中で議論を深めてゆくことが私たちの責任だと思っています。』の部分です。市長が言っていることは尤なことですが、市長には反問権がありません(現在、吉川市議会として反問権を与えていない)。したがって、質問されたことについてのみ答弁することが原則になっています。

私も、市長答弁は「反問権」に近いと思います。発言を取り消し、お詫びするということで一件落着に賛成しました。しかし、議事録からの削除、加藤議員と議会全体へのお詫び等についてクドクド話している姿を見ると、何かほかの意図を感じます。本質的にはいつもと同じパターンだと思います。相手の言葉尻をとらえて、問題だと騒ぎ、訂正と謝罪を求めるやり方。私たちもこれまで何度となくやられてきたことです。自分たちの力を見せつけ、相手を貶める。これを繰り返しやることで、『俺たちのいうことを聞かなければ痛い目にあうぞ。』反対に言えば、『いうことを聞けば協力してやる。』ということを伝えようとしている様に思えます。今回の反問権の一件だけでなく、自民・公明・共産の代表質問や議案質疑を通じて、メッセージを送っている。私には、そんな風に感じられます。議会の雰囲気は変わりましたが、体質は変わっていません。

昨日の「反問権」問題は、中原市長の存在がいかに大きいかという証明であり、議会にも、やっと緊張感(良い意味での緊張関係ではありませんが)が出てきたということです。居眠りする議員は少なくなると思います。中原さんがこれから迎えるであろう試練の一つが、議会との関係ですが、まだ試練は始まったばかりです。

それぞれの間で、良い意味での緊張関係を保ちつつ、市民・議会・行政が一体となって、「共に考え、共に働き」、住んで良かったこれからも住み続けたいと実感できる「まちづくり」を進めて行くことが、貴方の言う「価値ある未来を、共に」ではないでしょうか。市民・議会・行政が一体となれるかどうか、市長としての決意と力量が試されています。

健康に留意し、自信を持って、中原イズムの具現化にまっすぐ進んでください。

*地方議会は二元代表制ですので、本来「与党」「野党」という区分けはありません。国会のように議会の多数派が内閣を作っている訳ではありません。首長も議員もそれぞれ選挙で市民から選ばれています。議会から市長や町長を選んではいません。しかし、実際には市長与党、野党というように分かれいます。ほとんどの議会では、与党は市長提出議案について質問もせず、ただ賛成をすることが多いのが現実だと思います。『議論しない議会』だから、市民の関心も信頼も薄いのだと思います。

*反問権:議員の質問に対し、論点・争点を明確にするため、議長(委員長)の許可を得て反問することができるもの。議会が議論の場であるためには、双方が質問出来て当たり前との考えから首長や職員に反問権を与えている市・町もあります。

*追記します。昨日(6/5)の「反問権」問題で議事がストップした時間は1時間25分でした。傍聴に来られた皆様には大変ご迷惑をお掛けいたしました。