「十五夜」

今年のお月見(十五夜)は9月21日(火)。

残念なことに、月には薄い雲が掛かっていました。月は、新聞やテレビで見る新型コロナウイルスの「電子顕微鏡写真」のようでした。透けて見える月光の外側に丸い輪があります。不思議なことがあるものです。

十五夜前日(20日)の月は見事でした。
深い青色の空、澄んだ空気の中で星は光り、月は「黄金色」に輝いていました。
まさに「中秋の名月」に相応しい、美しく明るい姿でした。団子と野菜を盛った居間で、しばらく見とれていました。先週で最も豊かなひと時でした。

対比するほどのものではありませんが、議会最終日(24日)の一般質問終了後に、追加議案(財産の処分・補正予算)と意見書の審査が行われました。これらが全て終わった時、突然「動議」が出されました。

「議長に対する不信任決議」です。
休憩に入り代表者会議を開き、意見聴取や調整を図りましたがまとまりませんでした。

議長が除斥のため、私(副議長)が会議を再開。
「議長に対する不信任決議」を日程に追加し、議題とすることについて確認を求めたところ【異議あり】の声が複数あったため、表決を行いました。

可6・否12(議長と私は表決できません)となり、日程に追加しないことを決定*。

とるに足らぬことを理由にあげ、「不信任決議」を提出する姿は、余りにも小さく貧しい。
悲しい時間でした。

*9月27日追記: 本来、日程の追加が否決された時は後日(翌日)に日程追加されますが、提出が会期最終日(24日)のため、会期終了により審議未了(廃案)となりました。 「議長に対する不信任決議」 の審議は行っていません。



「総裁選挙」

「自民党総裁選挙」は9月17日(金)告示され、河野太郎・岸田文雄・高市早苗・野田聖子の4氏が立候補を届け出ました。

国会議員票(383票)と党員・党友票(383票)の計766票で争い、1回目の投票で過半数を得る候補者がいない場合は上位2者による決戦投票となります。

決戦投票は、国会議員票と都道府県各1の計430票の争いで、29日に開票されます。新総裁は10月4日招集の臨時国会で首相に指名され、新たな内閣がスタートします。

4氏立候補で自民党の「お祭り」も佳境に入ってきました。菅総理の立候補断念(9/3)からこの2週間余、新聞・テレビ等マスメディアは連日「総裁選挙」一色です。朝から晩まで立候補予定者や派閥の動き、予定者の政策や思い等について報道しています。

人々は安倍前総理や菅総理時代の失敗は過去の出来事として忘れ、新首相予定者達のコロナ感染症や経済対策等に関心が移ってきているように思います。

自民党からすれば有難いことです。これからの日本をかじ取りをする自民党、そして新たな総理と政策への期待に繋がるからです。
「総裁選」を通じ、自民党の政策や議員の主張、時々の動きをニュースとして扱ってくれる「パブリシティ」は、お金を掛けずに最大の効果を得ることが出来るものだと言えます。

今後最大の見どころは、決戦投票での派閥の動きだと思います。1回目の投票は異例の自主投票になるようですが、決戦投票では派閥としてまとまっていくと思います。麻生氏が「負ければ、冷や飯を食うことになる」と言っていますが、各派閥とも勝ち馬に乗るために結束して臨むのではないでしょうか。

世論調査では河野氏への支持が高く、「学級委員長」と言われている岸田氏も強いようですが、決選投票ではどうなるのか分かりません。

野党にとっては、指をくわえて見ているだけの辛い時期だと思います。

国家の「正義」

昨日は2001年米同時テロ、9.11から20年を経たアメリカ合衆国の様子が伝えられました。
ニューヨークの世界貿易センタービルにハイジャックされた旅客機が突入し、2977人の方が亡くなりました。犠牲者の中に日本人は24人おりました。

ツインタワービルが崩落し通りにいる人々が一斉に逃げまどう街の姿は、映画のワンシーンのようで信じられない思いで私もテレビを見ていました。背筋が凍り付くようでした。

同時テロをきっかけに始まったアフガニスタン戦争は、先月(8月)末に米軍が撤収し終わりましたが、この事件の容疑者の裁判は続いています。

昨夜9時からNHK総合テレビで、「NHKスペシャル 911同時多発テロ20年  遺族と元捜査官が追及  サウジ関与の疑惑とは 立ちはだかる国家の壁」が放映されました。

テロで家族を失った方々と支援してきた元FBI捜査官の20年間の活動です。『夫や家族がなぜ死ななければならなかったのか、テロの目的や背景、実行犯がどんな人たちで誰の支援を受けて事件を起こしたのか』。その真実を求めてきた姿を描いていました。

取り組みの中心は「情報開示」です。政府に対し、事件の真実を明らかにするため「情報開示」を求めてきました。歴代のブッシュ・オバマ・トランプ大統領は皆、最も重要な部分については開示しませんでした。理由は国家の「安全保障」に係わる。ということです。

焦点は事件とサウジの関与についての疑惑です。実行者の背後で支援をしてきたのがサウジアラビアではないのかという点です。実行犯19人のうち15人がサウジアラビア人。うち2人がアメリカの飛行学校で訓練を受けていましたが、2人と接触し支援していた人とサウジアラビア大使館関員との関係です。両者は深いつながりがあり、FBIが調査しました。しかし、肝心の内容は明らかにされていません。

サウジアラビアはアメリカにとって、中東での最大の理解者・協力国であると同時にアメリカの軍事産業を支えている国です。武器購入は事件後、最大で10倍にもなり、現在でもサウジが武器を買わなくなったらアメリカの軍事産業は崩壊し、経済は大混乱すると言われています。

事件当時のアメリカ政府元高官がNHKの取材に対し、「大国は相手が専制国家であろうが、自国の安全と経済を守るためには鼻をつまんで相手と握手する」といった趣旨の発言をしていました。衝撃的な発言でした。

真実を明らかにし「正義」を求める国民・個人に対し、国家の「正義」が立ちはだかっています。

*実行犯とされる被告(容疑者)の裁判はいつ終わるのでしょうか。拷問で得られた証拠以外の証拠を積み上げ、判決を下すときサウジとの関係は明らかにされるのでしょうか。

どうなることやら

突然の菅首相退陣表明に、大騒ぎになっています。
テレビは昨日(9/3)の午後からニュースや報道番組で速報を流し、今朝の新聞には、「総裁選立候補断念、退陣」の文字が大きく踊っています。

新聞には、「万策尽きて無残な退陣」「官邸に国民の声届かず」「策士、策に溺れる」等の表現で、総裁選立候補断念に至る経過や原因が書かれていました。菅首相が得意としてきた人事ですが、党の役員人事や内閣改造で局面の打開を図ろうとして失敗した結果だと。

また1年半に及ぶコロナ禍の中で、経済をはじめワクチン接種の遅れ・感染拡大抑止・医療のひっ迫、後手後手の対策等の失敗を取り上げ、そして自民党総裁選挙や衆議院議員選挙の日程、後任の首相に誰がなるのかについて伝えています。

書かれていることは、いちいち「ごもっとも」な事だと思いますが、私はそれ以上に自民党の「したたかさ」が根底にあると感じました。

昨日の朝までは、菅総理と岸田文雄前政調会長の一騎打ちとなるのではないかという感じで、安倍前総理や麻生氏も早々と菅総理への支持を表明していました。

しかし本音は、総裁選挙にどちらの候補が勝ってもその後の衆議院議員選挙では負ける。このまま行ったら大きく議席を減らす、と考えていたと思います。また自民党議員達も、とりわけ当選回数の少ない議員達は菅首相では生き残れないと危機感を強め、首相を新しい顔に変えて、思い切った(強力)な経済対策とコロナ対策を打ち出さなければ、議席を守ることは出来ないと考えていると思います。


安倍前総理や麻生氏等の長老は、そうした声の高まりを待ちながら役員人事や内閣改造が出来ない(受ける人がいない)ことを菅総理に分からせて、諦めさせたように思います。(*総裁選先送り衆議院解散にもダメ出しをして追い詰めて)

「自民党政権を守る、議席を出来るだけ減らさない」が最大目標ですので、当然の対応だったと思います。

菅総理の不出馬で、一気に若手候補が大勢出てきました。

総裁選挙は「お祭り」です。国民とメディアの関心を集めると同時に自民党員の支持をしっかり固め、衆議院議員選挙に入るためのものです。新しく選挙の顔となる人達に、コロナ対策と経済対策を語らせるのでしょう。

しかし、そう上手くいくかどうかは分かりません。これまでの失敗を菅総理1人に押し付けたとしても、感染拡大が止まらず医療がひっ迫する中、原則自宅療養者が直ちに入院できるものではありません。また、これまで非常事態宣言やまん延防止等重点措置を繰り返し実施したことで、店や事業の継続が困難となっている営業者・事業者や他にも厳しい生活を余儀なくされている方々も多くいます。

そんな中での選挙です。有権者は、自民だけでなく野党の候補に対しても冷めた厳しい目で選ぶと思います。

遅くても、選挙後の臨時国会で強力なコロナ対策・経済対策補正予算を年内に成立させるスケジュールで取り組むべきです。「国民の命を守る」ことが大切だというならば、総裁選挙や衆議院議員選挙、臨時国会はダラダラとやるべきではありません。

*9月5日追記: 9月3日の東京株式市場は、菅首相の退陣表明を好感して全面高に。日経平均の上げ幅は584円60銭を超え、終値29,128円11銭でした。市場は経済対策への期待感と選挙の顔が変わることで、自民党は衆議院選に負けないと見たようです。土俵際の「うっちゃり」は決まるのでしょうか。