秋刀魚(さんま)

大型船(120~130t)でのサンマ漁が8月20日解禁になりました。

豊漁が伝えられ、いよいよ美味しいサンマが食べられると思っていたら、9月6日(木)3時08分、震度7の北海道胆振(いぶり)東部地震が起き、浜値が4倍にもなりました。

サンマ漁は8月~12月頃まで続きますが、9・10月がピークで、大型船の解禁に合わせて、全国から北海道の漁場へ向かいます。気仙沼や小名浜、銚子をはじめ西伊豆や富山の方からも行くようです。

今は根室から襟裳岬沖が主漁場ですが、震源に近い胆振・日高あたりも漁場です。その後サンマは北海道から南下をはじめ、漁場も三陸沖(金華山)、千葉県銚子、和歌山県熊野へと移ります。

春から北上をはじめて、秋には南下します。行も帰りもプランクトンを食べながら大きくなっていきます。相当前ですが、春に北上するサンマの群れが東京湾から隅田川に迷い込んだことがありました。食べた人は、「パサパサで美味しくなかった」と言っていました。やはりサンマは秋です。脂ののった塩焼きは本当に美味しいと思います。

サンマ漁は江戸時代初期、紀州・熊野で獲ったのが始まりと言われています。三重県志摩半島から熊野灘一帯です。和歌山県新宮市の名物に「サンマ寿司」がありますが、奈良県十津川村でも昔から食べられていますので、その頃からの食べ方の一つだと思います。伊豆下田にも、「サンマ寿司」がありますが起源は知りません。

*「サンマ棒受け網漁」が始まって80年近く経ちます。現在は中型船(40トン以下)が中心ですが、かつては小型船(10~20t)での沿岸漁業だったと思います。最近は、韓国・台湾・中国などが大型船で大量にとって行きます。

*「サンマ棒受け網漁」: 夜間、船の右側の集魚灯・誘導灯を点け魚群をおびき寄せます。その間、左側で網を敷く。準備が出来たら右側の集魚灯・誘導灯を後ろから順に消し、左側の集魚灯・誘導灯を前から点けてサンマを誘導。群れがまとまったら、網を一気に手繰り寄せて獲ります。氷を混ぜながら魚倉に入れます。入り切れないサンマは海へ返します。

今年、小型船(10~20t)の解禁は8月10日でした。個人や少人数でやっている零細漁業者を守るため、一番最初に漁が出来るようにしています。当然、収穫量も少なく走りですので高価格となります。

以前勤めていた店で生鮮食品(肉・魚・野菜)を担当したことはありませんが、テナントの「鮮魚店」は毎日覗いていました。 最初、一尾1500~1800円。少し経つと1200~1000円。そして800円・700円・500円と下がって行きました。

最盛期、スーパーでは100円以下で売られることもありましたが、その時でも300円位していたと思います。当時、 一尾1500円とか1000円でも購入されるお客様がいました。やはり、本当に食べたい人にとってはそれだけの価値があると考えているのだと思います。

近い将来、サンマが取れなくなって高級魚「サンマ」1000円、1500円の時代か来るかも知れません。

「サンマの手づかみ漁」というのがあります。以前NHKテレビで紹介されたことがあります。

江戸時代から伝わる方法ですが、漂流物に卵を産み付ける習性(春・秋)を利用したもので す。

小舟の横に、海藻・米俵・むしろ・すのこ等を海面に浮かべ、集まったサンマを手づかみ(時には手網)する漁獲方法です。佐渡沖で「むしろ」を浮かべてやっている姿を映していました。今も続いているのかは分かりません。

サンマが枯渇し取れなくなった時、大型船・中型船での操業は採算面から出来なくなります。その時、どうしても食べたい人のために「サンマの手づかみ漁」が復活するかも知れません。

一体、一尾いくらになるのでしょうか。