6月議会が始まりました

6月議会が2日(火)から始まりました。2日は本会議。議案上程に先立ち、中原市長より平成27年度施政方針演説がありました。 『施政方針』は、今年度の市政運営にあたり市長の基本的姿勢・考え方・決意を明らかにし、27年度の重点施策について説明するものです。

『施政方針』の全体の構成、流れは今までと変わりません。重点施策も、「吉川市第5次振興計画前期基本計画」に沿ったものですが、随所に中原色が出ています。 基本的姿勢で、「価値ある未来を、共に」やこれからのまちづくりには、「共に考え、共に働き、最小の費用で、最大の効果を上げること」。人口7万人の吉川市だからこそできる「顔と顔を合わせた中での家族のような連帯」が「まちづくり」の鍵だと表明しています。

また、27年度の重点施策の中では、目の前の課題として、「市庁舎建設」「吉川美南東口整備」「中学校建設」の3事業を挙げ、市民との直接の意見交換のため6月議会終了後、「市長キャラバン」を実施したいとの考えを示しました。 その他、「市民シンクタンク」「地区担当官」「市民劇団の創設」そして、職員採用試験に「社会人枠」を新設等、予算との連動はありませんが中原さんの思いが見られます。

施政方針演説を受けて翌3日(水)、代表質問がありました。市民改革クラブ(伊藤)・公明党(小野)・共産党(佐藤)・自民未来(中嶋)の順に質問がおこなわれました。各派の質問は、『施政方針』に書かれていることの全般にわたっていますが、「市庁舎建設」「吉川美南東口整備」「中学校建設」「地方創生」や「市民シンクタンク」「地区担当官」「市民劇団の創設」「市長給与の削減」の問題に集中していました。公明党と共産党は予防接種の個別契約と吉川・松伏医師会との関係について質問をしています。自民党は5日(金)の議案質疑の中で予防接種と医師会問題を取り上げました。

市長が代わると随分と変わるものだと感じます。2日・3日は9時半頃から多数の市民が来庁し、傍聴席はいっぱいに。入りきれない方は、別館2階の会議室で音声だけの傍聴となりました。今まで、「小松川産廃業者進出」「フロリデーション」や「予防接種」問題の時、ほぼいっぱいのことがありましたが、私が見る限り、今回が最も多い傍聴者だったと思います。しかし、何より変わったのは議会だと思います。

自民と公明は、「野党」としての雰囲気が出てきいる様に感じます。代表質問では、疑問点や問題点について具体的に指摘したり聞いたりしています。市長を褒め讃え、賛同・賛成を表明していた頃とは違う雰囲気です。今まで議案審議での自・公の質問はあまり聞いたことがありませんが、6月議会では、自民が市長提出議案の条例や一般会計補正予算について質問をしています。議員になって8年目ですが、初めて質問に立った自民党議員の姿には驚きました。

5日(金)議案質疑の午後、議事再開した途端に議長が「休憩」を宣言した。何のことか分からず控室で待っていると、議会運営委員会を開催するとの連絡が入った。議長室へ行くと午前中の質疑の中で、加藤議員(自民)の質問に対する市長の答弁が「反問権」に近いのではないかとのことだった。昼休み中に自民・未来、公明、共産から申し出があり議運を開いたという。私が、『問題を話し合う前に、議長の進め方はおかしいのでは』と聞いた。『いきなり、何の説明もなくただ休憩を宣言し、議運を開くやり方はおかしい。傍聴に来ている方々だけでなく、議員である我々にも失礼ではないか。自民・公明・共産は事前に分かっているから当然のこととしているようだが』と言った。それに対し、自民・公明・共産は声をそろえて、『まったく問題はない。議長の対応は正しい。議長の権限。』を繰り返す。挙句の果てに、『市長の答弁を聞いているんだから、そんなことは言わなくても分かるはずだ』という始末。

「反問権」に近いのでは?と問題にされた市長答弁は、『まず、今回の件に関して加藤議員の立ち位置、考え方を明確にしていただいた上での議論の方が、より深い議論となると思いますし、それを市民に公開し、関心を持ってもらう中で議論を深めてゆくことが私たちの責任だと思っています。』の部分です。市長が言っていることは尤なことですが、市長には反問権がありません(現在、吉川市議会として反問権を与えていない)。したがって、質問されたことについてのみ答弁することが原則になっています。

私も、市長答弁は「反問権」に近いと思います。発言を取り消し、お詫びするということで一件落着に賛成しました。しかし、議事録からの削除、加藤議員と議会全体へのお詫び等についてクドクド話している姿を見ると、何かほかの意図を感じます。本質的にはいつもと同じパターンだと思います。相手の言葉尻をとらえて、問題だと騒ぎ、訂正と謝罪を求めるやり方。私たちもこれまで何度となくやられてきたことです。自分たちの力を見せつけ、相手を貶める。これを繰り返しやることで、『俺たちのいうことを聞かなければ痛い目にあうぞ。』反対に言えば、『いうことを聞けば協力してやる。』ということを伝えようとしている様に思えます。今回の反問権の一件だけでなく、自民・公明・共産の代表質問や議案質疑を通じて、メッセージを送っている。私には、そんな風に感じられます。議会の雰囲気は変わりましたが、体質は変わっていません。

昨日の「反問権」問題は、中原市長の存在がいかに大きいかという証明であり、議会にも、やっと緊張感(良い意味での緊張関係ではありませんが)が出てきたということです。居眠りする議員は少なくなると思います。中原さんがこれから迎えるであろう試練の一つが、議会との関係ですが、まだ試練は始まったばかりです。

それぞれの間で、良い意味での緊張関係を保ちつつ、市民・議会・行政が一体となって、「共に考え、共に働き」、住んで良かったこれからも住み続けたいと実感できる「まちづくり」を進めて行くことが、貴方の言う「価値ある未来を、共に」ではないでしょうか。市民・議会・行政が一体となれるかどうか、市長としての決意と力量が試されています。

健康に留意し、自信を持って、中原イズムの具現化にまっすぐ進んでください。

*地方議会は二元代表制ですので、本来「与党」「野党」という区分けはありません。国会のように議会の多数派が内閣を作っている訳ではありません。首長も議員もそれぞれ選挙で市民から選ばれています。議会から市長や町長を選んではいません。しかし、実際には市長与党、野党というように分かれいます。ほとんどの議会では、与党は市長提出議案について質問もせず、ただ賛成をすることが多いのが現実だと思います。『議論しない議会』だから、市民の関心も信頼も薄いのだと思います。

*反問権:議員の質問に対し、論点・争点を明確にするため、議長(委員長)の許可を得て反問することができるもの。議会が議論の場であるためには、双方が質問出来て当たり前との考えから首長や職員に反問権を与えている市・町もあります。

*追記します。昨日(6/5)の「反問権」問題で議事がストップした時間は1時間25分でした。傍聴に来られた皆様には大変ご迷惑をお掛けいたしました。