先日、お届けした市民改革クラブ『6月議会活動報告』の内容ついて、よしかわ自民・みらい議員団のブログ会派声明 「市民改革クラブの議会活動報告に関して」の中でいくつかの指摘を頂いておりますので、それに対する見解を述べます。
基本的な考え方
私たち市民改革クラブでは、まず第Ⅰに、今回の危機管理に際し、市が対応する大前提は、「妊産婦や乳幼児等の弱い者へのしわ寄せをしない」という立場で臨むべきだと考えています。そして、現在の事態は、行政の裁量権行使の判断ミスが招いた危機 (管理危機) だと思います。
いろいろな立場、状況の中で生活している妊産婦や乳幼児等が今後、不測の事態に陥った場合、行政が全面的に責任を負うことになります。
一日も早い解決を望むものです。
一点目 ・『そもそもこの問題は、除名された医療機関が医師会の総会決議に反して新たな医師会を立ち上げたことにあります。そのことが、医師会からの除名に発展し、さらには、医師会の会員として参加していた市保健事業からの除外に至ったものです。
そして、問題解決のためには、なぜこの問題が発生したかをしっかりと見定め、原因となった事柄を排除していくことが大切な筈です。然るに稲垣議員は、殊更に市が両医療機関を市保健事業から排除したことのみを非難しています。これでは、一時的な対応はできたとしても問題の根本的な解決には繋がらず、後々問題が再発する可能性を残しています。稲垣議員の主張からは問題を解決しようとする意思が感じられません。』についてですが
●私たち市民改革クラブが『問題』としているのは、結果として乳幼児の予防接種や子宮がん検診を受ける市民が困っている状況を『問題』と捉えています。
乳幼児や小さな子どもを抱えた若い母親達が、『出産した医院の信頼できるドクターに相談して接種を受けたい』、また、ご婦人方が『かかりつけ医で検診を受けたい』という声に沿った対応を市はすべきだと考えます。
●医師会内の、『問題の根本的な解決』については私達も望むところですが、これは一議員が解決できる問題ではありません。また、紛争を解決する立場にはありません。
医師会内部で解決を図るべき問題です。
数年前まで医師会会長を務めた医師が、新たに医師会の分会を作ったことが除名の原因とされていますが、それには双方の利害、思惑、感情が複雑に絡んでおり、そこに至るまでの経過についても双方に言い分があると思います。
もし、よしかわ自民・みらいの一議員(議員団)として出来るというのであれば、ぜひやっていただきたい。我々にできることがあれば協力は惜しみません。
二点目・ 稲垣議員は、今回の問題で市が市民に多大な不便と不安を与え混乱を招いているとしていますが、事実でしょうか。
先に述べたように、事の発端は除名された医療機関が医師会の総会決議に反して新たな医師会を立ち上げたことにあり、そのことが、医師会からの除名に発展し、さらには、医師会の会員として参加していた市保健事業からの除外に至り、最終的に、両医療機関を利用(しようと)していた市民の皆さんに影響を与えています。
結果的に、除名された医療機関が自らのとった行動によって、両医療機関を利用(しようと)していた市民の皆さんに不便を与えてしまった形です。
一方で、除名された医療機関を利用(しようと)していない市民の皆さんには何の影
響も出ていません。稲垣議員はこのような点には一切触れず、市の取った行動が原因で全ての市民に不利益を与えているかのような批判を展開しています。については
●すごい理屈と発想に驚きを隠せません。『除名された医療機関を利用(しようと)していない市民の皆さんには何の影響も出ていません』との主張ですが、例えば病児・病後児保育事業は、『病中又は病気の回復期ある子ども(生後3か月から小学校3年まで)を市が委託する医療機関 (埼葛クリニック)で一時的に預かる事業』ですが、当該医療機関が利用できなくなった場合も、そう主張するのでしょうか。
実際に利用する人にとって、使えるかどうかが問題であり、不便や不安なく使えることが大切なことではないでしょうか。
市民の多様なニーズに基づき事業が始まります。対象や目的、時期が異なるのは当然です。
事業のほとんどは、全市民を対象にしているものはありません。
●『結果的に、除名された医療機関が自らのとった行動によって、両医療機関を利用(しようと)していた市民の皆さんに不便を与えてしまった形です。』とありますが、そのような見方が出来ない事もないと思います。しかし、そのことを断定的に言うのであれば、少なくとも除名された医師に、なぜそこまでして新たな医師会を作ったのか、その目的・意図を確認すべきではないでしょうか。市(医師会)の主張のみを鵜呑みにして判断する理由は何かを明らかにしていただきたい。
普通に考えれば、公共機関である市は、中立的であるべきです。紛争当事者の一方と契約することは逆に別のリスクを負うことになります。東京地裁での地位確認を求める訴訟の裁判や事態の収拾を見てからということではないでしょうか。
●市民が今受けている不利益・不便の直接原因は、医師会を除名された大久保クリニック・石井クリニックを市の指定医療機関から除外したこと。また市が、委託事業についての個別契約を頑なに拒否していることから、起きているのではないでしょうか
三点目・ 稲垣議員は、個別契約をしないとする市の判断を間違っているとしていますが、個別契約 をすると問題は解決するのでしょうか。
個別契約によって、除名された医療機関を利用(しようと)していた市民の皆さんには一時的にメリットが生じるかもしれませんが、除名された医療機関を利用(しようと)していない市民の皆さんには影響は出ないのでしょうか。先に述べたように吉川松伏医師会と除名された医療機関の間では、医師会の在り方に関して意見の相違があり、訴訟も提起されています。
このような状況の中で、医師会との契約とは別に個別契約を結んだ場合、医師会と市との信頼関係に影響がないと言い切れるでしょうか。一般常識として、紛争関係にある双方と契約を締結して、円満に事業をすることなど考えられないと思います。
稲垣議員の主張は、最悪の場合には除名された医療機関を利用(しようと)していない市民の皆さんを巻き込んでしまう恐れを秘めています。さらには、学校医・保健所医や介護保険認定審査委員などにも影響が及んだ場合には全ての市民がこの問題に巻き込まれてしまう可能性も否定できません。稲垣議員は、市が一方の側に与していると主張していますが、除名された医療機関のみを見て多くの市民を見ていないのは、実は稲垣議員のような感じがします。
●個別契約をすれば、問題は即解決します。
乳幼児や子どもを抱えて、『地域外申請』を受けるための面倒な手続き・市役所と医療機関の往復・立て替え払いの負担から解放されます。
議員がやるべきことは、市民に不必要な負担を強いている状況を改善することだと考えます。自民・みらい議員団は、『市は、精一杯の対応として地域外申請で受診できるようにしている』との主張をただ代弁するのではなく、しっかりと現在の事態の異常さ、深刻さを理解すべきだと思います。
●『個別契約を結んだ場合の医師会との信頼関係、市の保健業務への影響により、市民がこの問題に巻き込まれてしまう可能性』については、心配はないと言えます。
医師会を除名された医師と個別契約したら、現医師会が全面的に市の事業から手を引く、協力してもらえない事で、市民全体が不利益を被る恐れがある。との主張(市の答弁と同じ)は、裏返して見ると『医師会からそうすると脅されている』あるいは、『そういうことにならないように』するためと読めます。
もし、そのようなことを医師会が言っているとしたら、再び公正取引委員会が調査に入り排除命令や罰金等の法的処分は免れず、全国ニュースとして放映され、恥の上塗りをすることとなります。あるいは、市が『そういうことにならないように』と心配して、契約をしないとすれば、それは見当違いではないでしょうか。
一般常識からすれば、医師会と医師の間で紛争があり東京地裁で係争中ということであれば、市は双方に距離を置き、市民に迷惑を掛けない対応をするのが行政としての判断ではないでしょうか。医師が不正請求や医療事故の隠ぺい等で逮捕・起訴されたというなら、市の対応は理解できますが、医師会内部の対立紛争のツケを市民に回すことはすべきでないと考えます。
●私達は個別契約で全てが解決するとは言っておりません。市は、市民が困るようなことをやめるべきで、そのためには慣例に固執せず裁判結果や事態の収拾が図られるまで緊急避難として、柔軟な対応をすべきではないかと提案、主張しています。
●私達は市民を見ています。多くの市民を見ずに、市長や医師会だけを見ているのは自民・みらい議員の皆様ではないかと感じます。
四点目・ 稲垣議員は、この問題に関して現在まで市は全く何もしていないと主張していますが、実際、市は何もしてないのでしょうか。
両医療機関が吉川松伏医師会から除名されたのは昨年(平成24年)の9月、そして、そのことが市に通知されたのが翌10月です。市の保健事業に関しては、市と吉川松伏医師会の間で取り交わされた契約に基づき実施されていますので、この時点で、両医療機関は市の保健事業を実施できなくなっていた筈ですが、市と医師会との協議により、実際は今年(平成25年)の3月まで両医療機関で予防接種等を受けることができました。その後も立て替え払いにはなりますが、定期の予防接種を受けることができています。
また、今年5月には両医療機関とも埼玉県医師会の会員資格を喪失し、妊婦検診を受診することができなくなることになっていましたが、市が県と交渉・調整を行った結果、従来どおり受診することができています。
このように、昨年の10月以降、市は様々な手を打って、市民への影響を必要最小限に留めています。
この間、稲垣議員(市民改革クラブ)は何をしてきたのでしょうか。
様々な場面でこの問題に関して主張をしておりますが、その内容は、問題の根本的な解決に結びつかないばかりか、問題を課題に喧伝して市民の皆様の不安を煽り立て、無理矢理争点を作り出して、さらなる混乱に導こうとしているかのように見えます。
この問題を根本から解決するためには、2医療機関が除名となった原因を取り除いたうえで吉川松伏医師会と和解し、再び医師会の会員として市の保健事業に参加する途を探る事が最善の策であると考えます。
稲垣議員や市民改革クラブに今求められていることは、除名となった医療機関の利益を代弁することや利益誘導、徒に市民の不安を煽る事ではなく、市民の皆様に事実を伝え、どのようにすれば問題の全面的な解決につながるかを真剣に考えることだと思います。
●前段は、市長や健康福祉部長の答弁と同じ内容で、議員として恥ずかしくなります。
議員としての立場、役割を理解されていないと思います。
言うまでもなく、市政は二元代表制です。
議会は、行政のチェック機関としての役割と機能が求められます。議員一人ひとりに、政策の妥当性や事業についてその必要性・有効性・効率性を検証し、優先順位を検討した上で予算を承認し、決算では、その検証・評価が求められます。
執行側の主張を鵜呑みにして、ただ賛成をするだけの立場なら議会は必要なく、議員もいりません。吉川市議会の中から市長を選出するのであれば、国会の議員内閣制と同様に、自民・みらい議員団が与党の立場で『市長を守りたいと』考えるのも理解できますが、市政は二元代表制です。市の政策や判断の誤りにより市民に不利益が生じているのであれば、その誤りを正し、改善を求める姿勢こそ議員のあるべき姿、立つ位置だと考えています。
この、会派声明が議員団の総意として出されているのであれば、皆様とは根本的に議員としての考え方が違うと感じます。
●昨年の10月、医師会からの通知で知ったということですが、その時点で市の指定医を外れた場合、定期予防接種・子宮がん検診等健事業推進に重大に影響が出ることは分かっていた訳です。
市はなぜ、医師会及び医師にその確認や市民生活への影響を未然に防止するための話し合いを実施しなかったのでしょうか。学校医はすぐに外しましたが、予防接種事業については今年3月、大久保医師からの問い合わせで、初めて『公費ワクチンは打たせない』と伝えられたと聞いています。
『医師会からの正式な通知そして議事録にも記載されているので、改めて確認する必要はない』との答弁は、元医師会の会長で40年近く学校医をはじめ市の保健事業に協力してきた医師に対する対応としては、極めて異例だと思います。何か他の目的、意図、背景があるように感じます。
●『妊婦検診を受診することができなくなることになっていましたが、市が県と交渉・調整を行った結果、従来どおり受診することができています。』は、誤りだと思います。
妊婦健診はもともと県の事業。大久保医師側が担当課とのやり取りの中で、『県医師会に所属してなくともなんら問題はなく、通常通り検診を進められます』との確認をして、進めていたそうです。
市が県と医師の間に立った事実があるならば、具体的にお示しを頂きたい。
H23年12月の一般質問の中、小松川工専地区への産廃業者進出問題で『市は業者に対し、一歩踏み込んだ強力な指導と折衝を行うとともに、県に対し、吉川市民は進出に反対の意向であることをはっきりと伝える』『県に直接行って担当者と話し合うべきでは』に対し『県担当者に直接要望してございます』との答弁を受けたが、私達が県担当者と話し合いを持った際、担当者たちは顔を見合わせ、『そのような要望は伺っておりません』と。
市の担当者が県に行き担当者と会ったことは事実だが、話の内容については、全く伝わっていない。そんなことが何度もありましたので、市の報告を鵜呑みにせずきちんと確認をされた方がよろしいと思います。
●私(稲垣)の主張が『問題を課題 (過大の誤りでは)に喧伝して市民の皆様の不安を煽り立て、無理矢理争点を作り出して、さらなる混乱に導こうとしているかのように見えます。』
とありますが、具体的内容、事実をお示しください。
●『この問題を根本から解決するためには、2医療機関が除名となった原因を取り除いたうえで吉川松伏医師会と和解し、再び医師会の会員として市の保健事業に参加する途を探る事が最善の策であると考えます。』同感です。
『除名となった原因を取り除いたうえで』を加えたのは良いと思います。
市の答弁では、『いずれにしても当市と致しましては、長年、指導的立場にて吉川市の保健事業にご協力頂いてきた両院長、医療機関が一日も早く吉川松伏医師会との関係を修復し、再び医師会の会員として市の保健事業にご協力いただけることを願っています』でした。
私どもとしてはこれに加えて、医師会への保健事業委託については今後の推移を見守りつつ、見直すべきと考えます。
よしかわ自民・みらい議員団としては、『除名となった原因を取り除いたうえで』について、どのように行うのかを具体的にご教示ください。
●最後の『稲垣議員や市民改革クラブに今求められていることは、除名となった医療機関の利益を代弁することや利益誘導、徒に市民の不安を煽る事ではなく、市民の皆様に事実を伝え、どのようにすれば問題の全面的な解決につながるかを真剣に考えることだと思います。』
については、稲垣議員や市民改革クラブを『よしかわ自民・みらい議員団』に、除名となった医療機関を『吉川松伏医師会そして吉川市』に置き換えて、そのままお返し致します。
●よしかわ自民・みらい議員団のブログ | 会派声明 「市民改革クラブの議会活動報告に関して」|の責任者氏名を明らかにしてください。市職員が関与しているのであればその方の部署・氏名も合わせて提示ください。
市民改革クラブの責任者は、稲垣茂行です。
●今回、市民改革クラブの『6月議会活動報告』の内容についていくつかのご指摘を頂いたことを感謝申し上げます。
市民の前でオープンな形で意見を述べ合うことは、今起きている問題について、いろいろな角度から見ることに繋がり、本質を理解するうえで有効かつ大切な事であると考えます。
今後さらに議論を深め、お互いの立場、考え方を相互に理解しつつ、課題解決につなぐことが出来れば幸いです。また市民にとって、こうした議論を通して少しでも市政への理解と関心を高めることが出来れば、議員として大きな喜びです。
そのためにも、私達の質問、疑問に明確にお答えいただきたいと思います。
平成25年7月8日
市民改革クラブ
いながき茂行
*上記内容の基となる、6月議会一般質問の議事録はこちらです(PDFファイル)