〈夜間授業〉第9回・池田大作と創価学会

池上彰さんの「夜間授業」第9回のテーマは、池田大作と創価学会でした。

2月8日(金)19時、会場は文藝春秋社西館地下ホールです。第2回から続けて参加していますが、当日はいつもとは何か違った雰囲気が漂っていました。

20分前に会場へ入りましたが、ほぼ満席でした。老若男女おりましたが、これまで出席されていない方が多いと感じました。全体に黒っぽい服装でした。

今回のテーマからすると、学会、反学会の立場の方を含め池田大作氏に関心・興味をもつ方々だと思いました。私と同様に、池上さんが何を話すのか、どんなことを言うのか、どこまで話すのかを楽しみにしている様子でした。

2時間の授業を受けるため、大切な時間とお金を使ってきている人達です。ゆったり感はなく、やや緊張した真面目な空気感でした。

池上さんは、言葉を選びながらレジメに添って淡々と話をされました。いつも以上に客観的に語っていたと思います。会場の雰囲気を感じ取っていたと思います。

レジメには、1 私と創価学会 2 南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華教 3 弾圧を受けた創価学会 4 高度経済成長期にともに成長 5 政界へ進出ー国立戒壇建立を目標 6 「言論出版妨害事件」で謝罪 7 創共協定を結ぶ 8 大石寺から破門ー独立の宗教法人へ 9 反自民で自民党から批判 10 自民党と組んで与党に 11 「下駄の雪」と皮肉られても、 とあります。

池上さんは、『元々は、「日蓮正宗」信徒団体の一つであった「創価学会」がどのように発展してきたのか、何のために政界へ進出したのか、宗門との対立と独立の経過、自民党との関係等。そして「池田大作」はどんな人で、これらにどのように関わってきたのか』について、年表(池田大作と創価学会)を使い、事実を淡々と説明するとともに自身の取材経験を交えて話をされていました。

私が特に興味を覚えた一つは、現在800万世帯と言われる創価学会が大きく発展した時代背景、その手法と対象とした人達についてです。1960年代の高度成長期、地方から上京した若者の「仲間づくり」と「相互扶助」で会員を増やして行ったことです。

学歴の低い労働者たちを中心に、「現世において、自分の人生を変えることが出来る」と伝え、仲間を増やすことで、東京や大阪という都市の中で、安心と生きる自信を与えてきたと思います。

学生時代、地方から来ていた友人が同じアパートに住む人に折伏され、学会へ入信したことがありました。同じだったと思います。1970年代のことですが、労働組合や共産党の民青も同じような活動を通して、組織の拡大を図っていた時代でした。

公明党が「弱い者の味方」として、ポピリズムに走る傾向の原点だと感じます。

政界への進出の目的は、国立戒壇建立が目標だと聞きました。日蓮正宗を日本の国教にするのが目標ということに、驚くとともに、改めて宗教の持つ力を感じました。

池田大作氏について池上さんは、「平和主義者でリアリストではないか」と述べました。昭和3年1月2日、東京大森で海苔業者の5男として生まれた彼の生い立ち(池上さんの話から)や、これまでの経歴を辿るとそのように映ります。

学会婦人部の、平和への強い思いや安倍総理に対する評価からみると、先生(学会での池田会長の呼称)の影響があるのかも知れません。

池上彰の〈夜間授業〉「“戦後”に挑んだ10人の日本人」の一人に選ばれた池田大作は高度成長期、人々の不安をなくす「よりどころ」を広めた人です。偶然かも知れませんが、江戸時代から続く檀家制度に挑んだ人ともいえます。また、毀誉褒貶の人であることは間違いないと思います。

*私は「仏教」についての知識はほとんどありません。池上さんの話で、南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華教の意味を初めて理解しました。

*毎回30分程、「質疑応答」の時間があります。私の質問は、宗教団体への寄付(お布施)と選挙(投票)との関係について。

*次回の夜間授業は、第10回(最終回)「天皇陛下と美智子さま」です。3月28日(木)、授業開始は19時00分。申し込みは文藝春秋社へ。受講料は6,480円(税込)です。