昨日(12月11日)、12月議会が終わりました。
条例の一部改正や補正予算等について審議をし、全て可決されました。
「まちづくり整備基準条例」の改正では、駐車場について基準緩和がされました。特に集合住宅(マンション等)への緩和です。
「吉川市税条例」の改正は、地方税法の改正とマイナンバー制の施行に伴うものです。
また、農業委員会等に関する法律の一部改正に伴い、農業委員と「農地利用最適化推進委員」の定数が定められました。
新たに設けられた「農地利用最適化推進委員」は、農地利用、とりわけ水田の集約化や効率化をより積極的に進めるために設置されたものです。吉川の耕作放棄地は0.28%で全国平均より相当低いということです。
都市近郊の兼業農家が中心の吉川で、どのような農業の発展をめざすのか注目されます。農業委員会の委員の定数は18名ですが、このうち6人が「農地利用最適化推進委員」で、市長が任命します。
「農業問題」に農業従事者以外の人の目が入ることになると思います。
最もよかったと思う条例は、『吉川市債権管理に関する条例』です。
以前から債権管理の一元化を提案し、それを担当する専門部署の設置を求めてきましたが、いよいよ来年度から債権管理の一元化が始まります。
市税等の滞納額の縮減と徴収率の向上は、全国の市町村の共通課題です。税の納付の公平・公正の維持と市政運営の源である財源を確保するためには、自治体が保有する債権を放棄することなく確実に徴収しなければなりません。その為の公金徴収一元化であり、専門部署の設置です。
企業でいえば、商品やサービスを提供したのに代金が支払われていない状況で、売掛金が未収と言うことです。自治体の債権は、数年間回収出来ないと「不能欠損」の処理をします。以前調べた時には毎年一億円以上の「不能欠損」を出していました。普通に考えれば、お金がなければ事業は出来ません。職員の給与さえ払うことが出来なくなります。しかし、滞納額が多く徴収率が低くても、不能欠損をどれほど出しても、職員の給与やボーナスが減ることはありません。企業も回収出来なかった債権を損金処理することがありますが、それに見合った責任をとるのが原則です。利益が出なければ給与やボーナスは下がります。役所にはそれがありません。
債権管理の一元化により、滞納額の縮減と徴収率の向上を実現した千葉県船橋市や神奈川県秦野市へ勉強に行きました。全国的に有名になっていますので、なかなか時間を取っていただけませんでしたが2年位前に行政視察でお伺いし、担当課長や責任者のお話しをじっくりと聞き、意見交換をしてきました。こちらが一生懸命尋ねると、いろいろと教えてくれます。最初出ていなかった資料を頂けることもあります。
船橋市では、平成元年の94.95%から毎年徴収率が下がり続け、平成12年度には88.78%にまで落ち込みました。一方、市税滞納額は増え続け毎年10億円前後増え続け、平成10年度には100億円を超える危機的状況に陥ったそうです。そこで平成13年度から①徹底した債権の差押え ②本税ブラス延滞金の完全徴収 ③臨戸から来庁へ ④非常勤職員の活用 ⑤分割納付の設定方法の見直し ⑥進行管理 ⑦セイフティネットの確立 ⑧滞納整理システムの確立を実施しV字回復を図り、平成16年度から19年度の対前年度徴収率の伸び率の合計がプラス4.38ポイント、滞納額の縮減率合計マイナス4.9ポイントとなり、当時の政令市17市、中核市35市の中で一番となったそうです。秦野市も同様の取り組みでした。
これらはいずれも、『税を納められる人』に対する滞納整理システムです。納める能力がありながら、納めない方に対する対策です。
一方、税を納められない人に対しては、どんなにきつく督促してもムリです。払える環境を作らなけれは゛問題は解決しません。多重債務の問題を解決する等、その方の「生活再建」が前提です。税金滞納からの生活再建プロジェクトが必要です。市役所は関連部署が連携して、包括的支援が出来るところです。支援のための情報を最も多く持っているのが市役所だと思います。生活困窮者を早く見つけ、早い段階で支援することは双方の利益になることで、市の大切な仕事です。
議案質疑の中で、「滞納整理」は「生活困窮者対策」と表裏一帯の関係で進めなければならない。そして、市長は腹を据えてどんな妨害が来ても職員を守り、やり抜かなければならない課題の一つであると主張し、理解を求めました。
吉川市の新たな一歩が始まると思います。
それにしても、周りは「選挙」「選挙」です。