吉川美南高校PTA・後援会新年会

昨日(1/20)、吉川美南高校のPTA・後援会新年会が福寿家で開かかれました。
そこで興味深い資料を頂きましたましたのでご紹介いたします。

埼玉県立吉川美南高校について書かれたものです。12月現在の入学希望状況は、1部全日制は募集人員119人に対し、希望者数174人。倍率1.46倍となっています。
1部定時制では募集人員78人に対し、希望者数43人で倍率0.55倍です。1部全体では、197人に対し217人で1.10倍です。

吉川美南高校の最大の特徴は、東南部地区唯一の「総合学科」の学校だという事です。
1部全日制のビジネスクラスでは、商業系の選択科目が豊富で商業の資格取得に有利です。1部定時制には「特別進学クラス」が設定されており、他クラスより高いレベルでの学習を目指すことが出来ます。進学から就職まで強みを発揮できる学校といえます。

普通科高校は、国数英理社等の普通科を中心に学習し進学に強く、専門高校は授業の三分の一は農・工・商・家庭等の専門教科を学習し就職に強いのが特徴ですが、美南高校は進学から就職まで対応する「総合学科」の学校です。

1部定時制は5選択群からの履修・習得で3年間での卒業がてきます。Ⅱ部(夜間部)定時制でも、始業前に設定される「自由選択科目」を習得することで、3年間で卒業することも可能となります。
スーパー定時制と言われています。

かつて、定時制高校は働きながら学ぶ学校でした。昼間働き、夜に行く学校でした。主に経済的な理由から全日制に通うことが出来ない人がほとんどだったと思います。民間企業でも中卒者を採用し、就業後に定時制に通わせたり、企業内に高校や専門学校で学ぶ知識や技術を教える学校が設けているところが見られました。特に大手企業では中堅社員や中間管理者として、企業内での人材育成を図る所が多かったと思います。自動車や通信、電気関係の会社をはじめ国鉄などにもあったと思います。

私が卒業した國學院大學久我山高校も、発祥は岩崎通信機の企業内の学校だったと聞いています。

吉川美南高校には昼間働き夜の定時制に通う学生もいますが、その逆もあります。昼間は学校(1部定時制)に行き、夜働く場合です。特に仕事はしていないという方もいるようです。また、進学校や専門高校になじめず中退した方が、『学び直したい』と入学するケースもあるようです。時代の要求や必要性に適応した、新しいタイプの学校として生まれたと思います。

7年前(平成21年秋)、吉川高校の全日制を廃止し、昼・夜開講の定時制高校とする計画が県から示されました。

吉川市は『全日制存続を求める市民会議(30団体)』を立ち上げ、計画の撤回を求める活動を行いました。県に対し、全日制存続を求める「要望書」の提出を始め、陳情・請願署名活動、議会では「意見書」を採択。副知事・県議会議長・教育長(教育局)とも話合いましたが、『心情は理解するが再検討は出来ない』『人口減少の中、再編整備計画を進めたい。吉川高校を良くするための計画なので、理解していただきたい』と県は繰り返し、互いの議論はかみ合わず平行線が続きました。

教育局との折衝の中で、忘れられない言葉があります。担当者は吉川高校について、『①中途退学者の率が非常に高い ②進路が決まらない状態で卒業する生徒が多い(就職も進学もしない)③教員の加配等、学力の向上に取り組んできたが壁を越えられない。④吉川高校の活性化・特色化を図り、魅力的な良い学校にするための再編整備のため。』と言われた。最初はオブラートに包んだ言い方でしたが、何回かのやり取りの中で本音が出てきたと受け止めました。

翌、平成22年2月18日、吉川高校全日制廃止問題は吉川高校の全日制・定時制課程と草加高校の定時制課程を統合し、新たな高校を現在の吉川高校に設置することで決着しました。全日制課程の存続が決まりました。25年春、『吉川美南高校』として新たなスタートを迎え、現在に至っています。

短い期間で随分と変わったと思います。落ち着いた雰囲気の学校になったと感じます。女子学生が多くなったことも影響していると思います。入学式や卒業式に出席し、生徒や先生に接すると目の輝き、態度・姿勢が変わったという印象を受けます。積極的・意欲的な感じがします。校長をはじめ教職員、生徒が何か共通の目標を持って活動しているからではないでしょうか。

平成27年の卒業生の進路状況は、大学27名、短大・専門学校62名、就職80名、その他3名です。大学への合格実績や就職先をみると、いろいろな大学・短大・専門学校へ行っています。就職先も、吉川市役所・埼玉県警・三越伊勢丹・プリンスホテル・さいかつ農業協同組合等、多方面に及んでいます。将来の目標を持って3年間学んできた結果だと思います。それを成し遂げたのはやはり、学校に関係している全ての人達の力だと思います。

県の再編整備計画では激しく対立してきた部分もありましたが、今思えば変えてよかったと思います。あのまま何もせずにいたら、皆にとって不幸な結果になっていたと思います。課題は多くあると思いますが、吉川市にある唯一の県立高校です。さらに学校と協力しあい、地域とつながった魅力的な学校にしていきたいと思います。