柚木沙弥郎の染色-もようと色彩-を見てきました。
駒場の日本民藝館へ行ったら、柚木沙弥郎の染色-もようと色彩-【4月3日(火)~6月24日(日)が開催されていました。
玄関広間をはじめ、2階の展示会場(大展示室・第3室)に作品が展示されています。 型染布の飾布や着物が中心ですが、ポスター等もありました。
展示会のタイトルにもなっていますが、何んと言っても『模様と色彩』がスゴイ。 『模様』は大胆で明るく力強い、飾らず余計なものがない。ユーモラスでかわいい。『色彩』もオレンジや藍、小豆色や茶等。改めて古くから伝わる染色の技術に驚かされます。 一言で言えば「美しい」。
やはり、いいものはいい。 生活の中で、のれんや間仕切り等に使えたら、楽しく豊かな気持ちになれると思います。
柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)のことは、知りませんでした。パンフレットには、1922年(大正11年)東京で生まれ、柳宗悦の思想と、芹沢銈介(以前のブログ、川上澄生の中で紹介)の作品に啓発されて染色家の道を志した。主軸は布への染色ですが、ガラス絵・版画・立体・絵本・ポスター等、いろいろな分野で取り組んできた、とあります。
現在96歳になるそうですが、型染めの第一人者として今なお創作を続け国内外での展覧会を開催する等、元気に活躍されているそうです。 尚、本人による記念講演 『自作と日本民藝館』が、5月19日(土)18:00-19:30に予定(要予約)されています。ご興味のある方は参加されたらいかがかと思います。
柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)と染色・染織について少し調べてみました。本当に知らないことばかりです。「オモシロイこと」は、まだまだたくさんある。と改めて思うとともに、訪ねたい所が次々と浮かんできました。
まずは、「正雪紺屋」。江戸時代の兵学者由井(由比)正雪の生家ですが代々続く染物屋です。柚木沙弥郎が芹沢銈介の弟子入り後に、芹沢の勧めで「布の扱いと染の基本」を住み込みで学んだところです。静岡県の由比町にあります。
(5月6日追記)*柚木沙弥郎は芹沢銈介が型染めした「暦」に出会い、勤めていた大原美術館を辞めて弟子入りをしたといいます。棟方志功は、川上澄生の「初夏の風」を見て、画家(油絵)になることを止めて版画家になりました。一つの作品が、進む道を変えてしまうというのは大変なことだと思います。作品はおそらく、生き生きとした力強い「生命力と品位」を持って「魂」に迫るものだと思われますが、その「本質」を感じるとる「直観力」がなければ理解できないことだと思います。
私には、到底理解できない世界です。そういえば昔、百貨店時代に、同僚に言われたことがあります。『いながきさん、リンゴの裏が見えますか?。ちゃんと見れば見えるんです!』と。2人は、私が入社した翌年に採用された後輩でした。東京芸大で油絵を描いていた人です。数年後、一人はデザイン事務所へ、もう一人は教員になりました。変人の私から見ても、さらに上をいく方々でしたが充実した人生を送られてきたようです。
芹沢銈介美術館(静岡市立)は駿河区の登呂遺跡のそばにあります。出来れば年内には、由比町の「正雪紺屋」と芹沢銈介美術館そして登呂遺跡を訪ねたいと思います。