SBIホールディングス(ソフトバンクグループ)が仕掛けた新生銀行への株式公開買い付け(TOB)が12月10日に終わりました。9月から12月10日まで1株2,000円で集めた株で、SBIの保有株式は47.77%となり、新生銀行はSBIの連結子会社となります。
TOB開始後、新生銀行は「相乗効果が期待できない」と反発し買収防衛策導入を決めましたが、2割強の株を持つ国が防衛策に反対する意向を固めたことから、新生銀行側が防衛策を取り下げていました。
SBIは「新生銀行の企業価値向上に取り組んでいく」としていますが、公的資金3,500億円の返済が最大の課題です。
国民負担を生じさせないためには、現在の株価を3倍以上1株7,450円以上に引き上げる必要があります。しかし、新生銀行の主力事業は利益の6割を稼ぐ消費者金融「レイク」を中心とした個人融資です。そう簡単なことではありません。
大手銀行で唯一公的資金が返済できていない銀行ですが、20年間、何をしてきたのでしょうか。
新生銀行は旧日本長期信用銀行の破綻によって生まれました。1998年10月に破綻し、一時国有化されていました。国が債務超過を穴埋めし、不良債権を買い取り公的資金を注入しました。これまで、1500憶円を返済しましたが3500億円が残されています。
SBIホールディングスが、新生銀行の企業価値向上をどのように図っていくのか分かりませんが、この難しい会社を生まれ変わらせる自信があるのだと思います。期待と同時に大丈夫かな?とも思っています。
* 日本長期信用銀行 と言えば日下公人(くさか きみんど)さんのことを思い出します。一度、お話を伺ったことがあります。銀行の参与(相談役?)になられていたと思いますが、新入社員時代のことや経営危機にある会社に対し最終的に融資をするかどうかの判断をする際、その会社の何を見るのか等、興味深い話でした。同行では業務開発第一部長や取締役をされた後、エコノミストとして活躍をされていた時代です。著書の一つ「新・文化産業論」はいい本だと思います。この本を読んだおかげで海外派遣(社内選考)でアメリカへ行くことが出来たと思っています。