「引廻しの上、獄門」。江戸時代は「偽金づくり」同様、『秤』を勝手に作ったりすることは重罪でした。
明治8年に「度量衡取締条例」の大政官通達が出され、明治26年「度量衡法」が施行されました。戦後、昭和26年に「度量衡法」から「計量法」に変わりました。
その後、「計量法」は何度か改正されていますが、当初から罰則規定がある法律です。それも、罰金だけでなく「懲役刑」が科せられます。計量法(平成4年改正)では、第170条~180条に罰則が定められています。第170条に『次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役若しくは、100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する』とあります。「刑法」は別として、その他の法律で「懲役刑」があるのは珍しいと思います。 *私が習ったときは確か3年以下の懲役でした。
日本の度量衡は、中国、唐の制度が大宝律令(702年)に採用されたものです。律令制では、基準となる大尺や大枡を国司に与え、度量衡器の検定と取締りをさせていました。
江戸幕府は、江戸と京都に枡座(ますざ)、秤座(はかりざ)を設け、製造・販売・修理の権限を与えていました。
国を治める者は、基準となる計量の単位を定め、土地の広さを測ったり、税として徴収する穀物等を量る計量器が必要です。国民もまた生活や仕事をして行く上で必要となります。当然、統一されたものでなければ困ります。 かつて中国では、基準となる大尺や大枡を持っていることが皇帝の地位を表す証明だったそうです。
計量の単位は国際化していますが、現在もその仕組み(制度の維持管理)は基本的には変わっていません。計量器の製造・販売・修理は勝手には出来ません。『取引証明』に使う計量器は、検定に合格(検定証印等)しなければ販売も使用も出来ません。実際に検定が行われている計量器は、商業用のはかり、ガス・水道・電気・ガソリン等のメーター類、体温計、血圧計等があります。また、計量器は定期的に検査を受け、合格しなければ使用することは出来ません。
はっきりとは覚えていませんが、かつて計量士はインチキなはかり等を見つけたら、その場でたたき壊してもよく、逮捕も出来ると聞いたように思います。アメリカでも同じだったそうです。計量制度は国家運営の基礎となるものだけに、昔も今も、法律で厳しく定められているのだと思います。