五島美術館

11月27日(木)が一般質問の締切日でしたので、当日の午前中に提出しました。一段落したので、市役所から直接、「五島美術館」へ向いました。

美術館は世田谷の上野毛ですので、東急の二子玉川(田園都市線)で乗り換え、一つ目の上野毛(大井町線)から歩きました。 「五島美術館」へ行くのは初めてです。

駅から5~6分ほどの静かな住宅街に美術館があり、隣のお屋敷には「五島 昇」の大きな表札がありました。

開催されているのは、【「特別展」東西数寄者の審美眼 阪急・小林一三と東急・五島慶太のコレクション】です。

阪急電鉄の創始者小林一三(いちぞう)、雅号「逸翁(いつおう)」は、鉄道・百貨店・宝塚歌劇・東宝等、現在に続く事業を関西圏を中心に拡げてきました。 一方、首都圏で東急グループの基礎を築いた五島慶太(けいた)、雅号「古経楼(こきょうろう)」は、逸翁の勧めで鉄道経営に携わったといいます。

鉄道経営も美術品収集も逸翁の影響を受けていたようです。

今回の特別展は逸翁美術館と五島美術館の収蔵品から、絵画・書跡・茶道具等約100点を展示しています。

絵画では、狩野光信・尾形光琳・与謝蕪村・円山応挙。書は小野道風・藤原行成・藤原定家など重要文化財や国宝級のものが多くありました。書や絵画のことはよく知りませんが、かつて聞いたことのある名前の方々ばかりでした。

陶芸では井戸茶碗をはじめ志野、鼠志野、黒織部、絵唐津の茶碗。染付や赤絵の香合、尾形乾山の色絵向付もありました。

私は、「鼠志野」の茶碗がいいと思いました。また、興味深く見たのは小林一三(いちぞう)と五島慶太(けいた)の書簡です。二人の交流です。美しい文字を書かれる方々だと思いました。教養と人格が表れているように感じました。

それ程広くない展示室内は「おばさま方」で一杯でした。閉館の時間まで少しありましたので、庭園を歩いてみました。 「五島美術館」の庭園は、「崖」でした。

傾斜地を自然に近い状態のまま利用して、石塔、石灯籠、石仏やあずま屋、茶室が配置されています。 高低差が35メートルあり、階段の形状も同じでないため歩きにくい庭園です。

庭園案内図には「健脚コース」。『多摩川が武蔵野台地を浸食して出来た「国分寺崖線」上に位置する傾斜地』で、『五島慶太は足腰の鍛錬も兼ねて庭園内を散策するのが日課であった』とありました。

石仏は、「六地蔵」が何カ所にも置かれていました。「これでもか」というくらい、あちらこちらにです。

仏教では生前の行いで、死後6つの世界(六道)に生まれ変わるといわれています。「六地蔵」は、六道のどの世界に生まれ変わっても救ってくださる「お地蔵さま」だそうです。

世間では「強盗慶太」と言われていたあの方が、「六地蔵」に毎日、手を合わせていたのでしようか。

*六道:天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道

*会期は12月9日(日)迄。午前10時~午後5時(入館は4時30分迄)です。休館日は月曜日。