日米首脳共同声明

昨日、菅首相とバイデン大統領との会談後の「共同声明」が出されました。

国際秩序に合致しない中国の行動や香港や新疆ウイグル自治区での人権状況に対する懸念、ミャンマー国軍による市民弾圧への非難、北朝鮮の非核化、世界の気候変動対策、人工知能(AI)、半導体そして台湾海峡の平和と安定など幅広い問題ついて話し合われた後の声明です。

3月に行った日米2プラス2での声明や、これまで話し合われてきたことの確認がほとんどですが、日米首脳の共同声明に「台湾」が明記されたことと、中国を名指しして、不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対表明を行ったことには驚きました。

共同声明では「日米両国は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」また、「自由で開かれたインド太平洋」を推進。「ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有」と記されています。

在米中国大使館は早速、「強い不満と断固反対」を、在日中国大使館も「台湾、新疆ウイグル自治区などの問題は中国内政であり干渉は許さない。日米が何を言っても釣魚島(尖閣諸島)が中国に属する客観的事実は変えられない」と表明。

共同声明で言っていることは、ほとんどが世界の共通認識であり、近年の中国の立ち居振る舞いから見ても当然の事だと考えられます。しかし、特に台湾問題は「台湾は中国の一部」「一つの中国」と考えている中国にとって、許しがたい内容だと受け止め、対抗措置に出ると思います。

台湾海峡の問題に日本が踏み込んだことは、今後の日中と日米関係に大きな影響があると思います。政治・経済・軍事関係の中で具体的問題が発生した時、日本が正しい判断・対応を行うことが出来るのか心配です。

最悪は「台湾有事」ですが、「尖閣」もあります。中国との取引をしている日本企業や進出企業に重大な問題が起こることも考えられます。

日本が「立ち位置」をはっきりさせ、主張することは必ずしも悪いことだとは思いません。しかし、「何について、どこまでするのか」は熟慮が必要です。

したたかなのは中国だけではありません。アメリカも当然、自国の利益を考えて行動しています。

菅首相はどこまで考えて、「共同声明」を出されたのでしょうか。