どうなることやら

突然の菅首相退陣表明に、大騒ぎになっています。
テレビは昨日(9/3)の午後からニュースや報道番組で速報を流し、今朝の新聞には、「総裁選立候補断念、退陣」の文字が大きく踊っています。

新聞には、「万策尽きて無残な退陣」「官邸に国民の声届かず」「策士、策に溺れる」等の表現で、総裁選立候補断念に至る経過や原因が書かれていました。菅首相が得意としてきた人事ですが、党の役員人事や内閣改造で局面の打開を図ろうとして失敗した結果だと。

また1年半に及ぶコロナ禍の中で、経済をはじめワクチン接種の遅れ・感染拡大抑止・医療のひっ迫、後手後手の対策等の失敗を取り上げ、そして自民党総裁選挙や衆議院議員選挙の日程、後任の首相に誰がなるのかについて伝えています。

書かれていることは、いちいち「ごもっとも」な事だと思いますが、私はそれ以上に自民党の「したたかさ」が根底にあると感じました。

昨日の朝までは、菅総理と岸田文雄前政調会長の一騎打ちとなるのではないかという感じで、安倍前総理や麻生氏も早々と菅総理への支持を表明していました。

しかし本音は、総裁選挙にどちらの候補が勝ってもその後の衆議院議員選挙では負ける。このまま行ったら大きく議席を減らす、と考えていたと思います。また自民党議員達も、とりわけ当選回数の少ない議員達は菅首相では生き残れないと危機感を強め、首相を新しい顔に変えて、思い切った(強力)な経済対策とコロナ対策を打ち出さなければ、議席を守ることは出来ないと考えていると思います。


安倍前総理や麻生氏等の長老は、そうした声の高まりを待ちながら役員人事や内閣改造が出来ない(受ける人がいない)ことを菅総理に分からせて、諦めさせたように思います。(*総裁選先送り衆議院解散にもダメ出しをして追い詰めて)

「自民党政権を守る、議席を出来るだけ減らさない」が最大目標ですので、当然の対応だったと思います。

菅総理の不出馬で、一気に若手候補が大勢出てきました。

総裁選挙は「お祭り」です。国民とメディアの関心を集めると同時に自民党員の支持をしっかり固め、衆議院議員選挙に入るためのものです。新しく選挙の顔となる人達に、コロナ対策と経済対策を語らせるのでしょう。

しかし、そう上手くいくかどうかは分かりません。これまでの失敗を菅総理1人に押し付けたとしても、感染拡大が止まらず医療がひっ迫する中、原則自宅療養者が直ちに入院できるものではありません。また、これまで非常事態宣言やまん延防止等重点措置を繰り返し実施したことで、店や事業の継続が困難となっている営業者・事業者や他にも厳しい生活を余儀なくされている方々も多くいます。

そんな中での選挙です。有権者は、自民だけでなく野党の候補に対しても冷めた厳しい目で選ぶと思います。

遅くても、選挙後の臨時国会で強力なコロナ対策・経済対策補正予算を年内に成立させるスケジュールで取り組むべきです。「国民の命を守る」ことが大切だというならば、総裁選挙や衆議院議員選挙、臨時国会はダラダラとやるべきではありません。

*9月5日追記: 9月3日の東京株式市場は、菅首相の退陣表明を好感して全面高に。日経平均の上げ幅は584円60銭を超え、終値29,128円11銭でした。市場は経済対策への期待感と選挙の顔が変わることで、自民党は衆議院選に負けないと見たようです。土俵際の「うっちゃり」は決まるのでしょうか。