嵐の前の静けさ

今夏のコロナ感染症「第5波」では感染者が全国で連日2万人を超え、重症者や中等症患者の一部は自宅療養を余儀なくされました。容体が急変し救急搬送を要請しても、病院のベットがいっぱいで自宅で亡くなるケースも見られました。
感染拡大は制御不能状態となり医療のひっ迫が起こりました。

9月に入り新規感染者が激減したことから、各地に出されていた緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が9月30日に解除されました。それから2ケ月が経とうとしています。新規感染者は減少し続け現在は落ち着きを取り戻しています。8月末のことがウソのようです。

政府は先日、新型コロナ「第6波」に向けた総合対策を決定しました。対策の中心は医療提供体制の強化で、病床数を増やすことや臨時医療施設・入院待機施設の拡大確保、病床稼働率を上げること等を11月末までに整備するとしています。

早速、都道府県へ病床確保計画の策定を要請しましたが、そう簡単なことではないと思います。
特に埼玉県ではもともと病院・医師・看護師の数が少ない上に、かつて東京での勤務をしていた団塊世代の生活の中心は地域に移ってきています。医療資源が少ない所で高齢化が進んでいます。

病院のベット数を積み増しすることが出来ても、医師と看護師が確保できなければ実際には機能せず、絵に描いた餅となります。「第5波」では軽症・中等症を受け入れる病院に重症者が送られ、看護の人手不足で病床使用率も下がりました。病院の方も医療崩壊を防ぐため、ベットが空いていても満床だと言って受け入れを拒んできました。

違う発想は出来ないのでしょうか。
まず感染者を軽症・中等症・重症に分け、受け入れる医療機関を明確にする。軽症者:地域の医師、中等症:中小病院、重症:大学病院・国立病院とし、 それぞれに対応できる体制を整備する。また、状況により優先順位をつけて緊急性の低い一般外来の診療をストップするなどの措置が必要だと考えます。さらに自衛隊や警察、企業が運営する病院の活用も計画に加えるべきだと思います。
限られた医療資源をどう活用していくのかということです。

26日、南アフリカで新たに確認された変異株「オミクロン」をWHOが「懸念される変異株」に指定したことで、変異株を警戒して世界同時株安の様相となりました。ニューヨーク株式市場は今年最大の下げでダウ平均株価で905.04ドル、東京市場でも747円安で1ヶ月ぶりに日経平均29,000円を割り、景気回復への懸念が一気に高まっています。

日本ではまだ始まっていない 新型コロナ「第6波」 ですが、 WHOの「懸念」指定 で世界中が最大警戒に入っています。新変異株 「オミクロン 」等 の出現は当然、想定されており対策に盛り込まれていると思いますが、感染力や重症化の度合い、従来ワクチンの効力、対応ワクチンの開発・供給時期等、分からないだけにやはり心配です。