消防議会と市議会

【吉川松伏消防組合議会】

3月31日(火)開催の消防議会一般質問、伊藤正勝議員の質問に中原管理者(市長)は明確に答えた。
「救命士暴行事件」の被害届取り下げについて、前管理者である戸張胤茂氏が指示したことを認めた。

中原市長は就任後、当時の隊員や消防長(現・前)らへの聞き取り調査をした結果、『組合としての指揮は強固で指揮命令が飛び越えることはない』、『戸張市長から、被害届を取り下げろ』との指示があったことが明らかになった。聞き取り調査は、関係者を同時に呼び、椎葉副市長立ち会いの下、事実関係を確認したという。

また、酒井消防長は、被害届の提出から取下げの経過について、『前消防長との間で十分な確認をしていなかった』として、26年9月議会での答弁を訂正。お詫びした。

消防組合議会は午前9時30分に開会。初めに一般質問から始まった。傍聴席には、朝日と埼玉新聞の記者、草加・八潮消防組合関係者、市民ら総勢30人近くが座り、伊藤議員と執行側とのやり取りにじっと耳を傾けていた。議員で傍聴に来たのは、稲葉・互・いながきの3名でした。

終了後、市民の間から、『本当のことが分かってよかった』、『胸のつかえが取れた』、『自民・公明・共産党はどう考えているのか』との声が上がった。

闇へ葬り去るはずだった、「救命士暴行」の被害届取り下げ事件。誰が指示したのかは明らかになりました。しかし誰に頼まれ、どのような目的・理由でやったのかはまだ明らかにされていません。また、2週間の怪我をした救命士が示談に応じたことは分かりますが、加害者が救命活動を妨害した行為は、「公務執行妨害」であり、警察官が来ていたのに逮捕を免れ、起訴されなかったのは理解できません。また、救命活動の妨害行為と心肺停止で死亡された方の因果関係も不明のままです。

伊藤議員は再質問の中で、『たまたま、加害者の関係者が後援会の重鎮であり、戸張さんも次の選挙(市長選・県議選)のことなどもあり、正常な判断が出来ず、また驕りもあって取下げを指示したのだろう。』、『これが全く関係のない市民だったら、そんなことをしなかったはず』そして、『いずれにしても、あらゆる角度から検証し記録に残すことで、この経験を生かすことができ、新たな組織風土を作ることにつながる』と提案し、質問を結びました。全くその通りで、第1ラウンドは終わりましたが第2ラウンドでのさらなる真相究明、そして第3ラウンドでの再発防止体制の確立が残っていると思います。

以前、私が取り上げた「消防長の人事ミス問題」。消防長としての資格がない人を消防組合に送り込み、政令違反で埼玉県から改善勧告を受けた問題です。私の追及に対し、法律よりも自分の判断が正しいと言わんばかりの強気の答弁をされたのは戸張さん、そして当時の消防長も酒井さんでした。変な因縁です。知事への低姿勢の回答と私に対する答弁のギャップに驚かされました。あの時は、何の問題もなく市議会の中で質問をし、戸張市長(当時)が答弁をされました。

しかし、今回は全く違う対応でした。「救命士暴行事件」については、ピリピリとした異常なまでの反応をしていました。吉川市議会ではこの1年余り、『消防のことは、消防議会でやってくれ』との立場。『消防……』と一言、いった途端に発言を停止(取り消し)させ、『懲罰だ!』と叫ばれました。

「自分たちに都合の悪いことは質問をさせない。逆らえば懲罰」と脅し、数の力で抑え込むやり方は良くない。しかし、それが今の吉川市議会の常識であり、それに異議を申し立てる者は極悪人とされる。
そこまでして、守りたい人たちや守っていきたい体制とは、どんな方々でどのような体制でなのでしょうか。

昨年の7月10日の消防議会。傍聴にいらした自民・公明・共産党議員らが、『憶測でものを言っている』と声高に言い放って退室しましたが、どう市民に顔を向け、どう弁明されるのでしようか。

 

*救命士暴行事件についての詳細は、3月議会報告(平成27年4月9日発行予定)をご覧ください。また、26年12月消防議会活動報告(27・1・12日発行)・26年7月消防議会特別号(7・28日発行)、26年6月議会活動報告(6・26日発行)にも掲載されており、私のホームページからご覧になれます。

*消防長の人事ミス問題」は平成21年6月議会報告に掲載されています。必要な方はいながきまでご連絡ください。

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【吉川市議会】

3月議会は3月23日(月)に始まり30日(月)に閉会した。実質5日間の短い議会でした。3月21日と24日にも3月議会のことはお伝えしましたが、27年度の市政方針が発表されませんでしたので、代表質問も予算討論もなく、なぜか一般質問も行われませんでした。(*訂正:骨格予算にも拘わらず、共産党が反対討論をしました)

盛り上がり少ない議会でしたがそんな中、最終日の第6号議案に対する「討論対決」は議会の権能、議員の役割とあり方を確認する良い機会になりました。議案は「吉川市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の利用者負担等に関する条例」です。吉川市内の幼稚園や保育所等の保育料を決める条例です。市長提案(執行側)は幼稚園関係が5階層、保育所関係は8階層に区分した金額設定になっています。このうち、保育所の階層区分を18階層とする修正案を自民が委員会で提出し、委員会決議で賛成多数(自民・公明・共産)となったため本会議に掛けられたものです。

保育については、3歳未満児、3歳児、4歳以上児に区分されかつ標準時間と短時間に分けられています。これを階層別(所得)に分けて保育料が設定されています。所得の低い世帯は低く、所得の高い世帯は高い保育料の金額が設定がされています。第1階層の生活保護世帯は0円(無料)です。第2階層の市町村民税非課税世帯も無料です。最も高額な所得割課税を納めている世帯での3歳未満児保育料(保育標準時間)は月56,000円です。3歳児31,000円、4歳以上児は27,100円です。そして、小学校就学前の子どもが複数いる世帯は、一人目は全額ですが、二人目は半額、三人目以降の利用者負担は0円となります。

近隣の越谷市、三郷市、八潮市、草加市と比べ、吉川市の保育料は全体に低く設定されています。また、生活保護世帯だけでなく市民税の非課税世帯も無料です。近隣市で市民税非課税世帯を無料にしているところはありません。

自民は、修正案の提出にあたり、『吉川市はこれまでも子育て支援に力を入れてきているが、条例の制定に合わせて①低所得者世帯 ②多子世帯にさらなる配慮をすべきである。そのため、国の基準でなく吉川市独自の階層区分とすべき。』との理由を述べました。委員会では、階層別の対象人数やどの階層の負担がいくら少なくなるのかは示されず、これを実施した場合の市の負担額(増加額)についても分からない。これから計算するといっていました。

一方、執行側は原案について、①国の基準に沿った階層区分である。②現在の利用者の実質的負担を維持することを基本に設定した。③市としての大きな課題である待機児童解消を優先したい。④そのために限られた経営資源を使うべき。との説明を議案質疑や委員会審査で行っていました。

どちらの主張も見方によれば、『ごもっとも』であり、どちらが正しいというものではないと思います。しかし税金を使う以上、市民が必要としている事業についてなにを優先的に行い、どうしたら最小の費用で最大の効果を上げることが出来るのかを考えなければなりません。そのための議論をし、決めるのが議会の役割です。

本会議で修正案の説明がされ、そのあと質疑。そして討論と続き、最後に賛否を取りました。賛成討論は自民(安田)と共産(遠藤)、反対討論には無所属の降旗、稲葉、斉藤と伊藤・稲垣(市民改革クラブ)が立ちました。これだけ多くの議員が討論に立ったのは初めだと思います。それぞれの視点から賛成・反対の主張をしました。結果は、自民・公明・共産の14名が修正案に賛成。無所属と市民改革5名が反対し、修正案は可決しました。子育て支援に力を入れているという公明が、討論に立たなかったのは残念です。修正案そのものには賛同出来ませんが、いろいろな角度・視点から意見をぶつけ合うことは、問題に対する理解を深め議員としての能力アップに繋がると思います。今後の研究課題が見えて良かったと思います。

私の討論の概要は以下の通りです。

『市長提出原案は一定の合理性、納得性があり修正する必要はないと考えます。子ども・子育て支援は、吉川の現状と課題を見極め、市民ニーズに応じた支援を、「総合的に進めて行く」ことが重要です。子ども・子育て支援新制度の最大のネライは、待機児童解消にあります。2017年までにゼロを目指しています。吉川で今年、保育所に入所できなかった方は67名でした。0歳~2歳が56人、3歳以上が11人です。実際にはもっと多くの希望者があり、今後も増え続けると思います。また、吉川市の保育料の水準は近隣他市と比較して低く抑えられ、低所得者への配慮も十分とは言いませんがかなり厚いと思います。さらに、子育て支援は、保育所の保育料だけの問題ではなく、幼稚園や保育所の環境と教育や保育の質、認定ことも園や小規模保育の組み合わせ、一時預かりや学童保育、病児・病後児保育、そして地域での子育て力アップ等、総合的なものでなければならないと思います。今回提出された修正案は、「木を見て森を見ず」の例えの通り、課題解決の優先順位を誤り、全体の整合性に欠ける視野の狭いものと言わざるを得ません。部分としてはそれなりの効果はあると思いますが、費用対効果、全体最適から見ると相当問題のある提案だと考えます。』

賛成討論は、よく理解できませんでしたが、反対討論は、それぞれの思いが込められていたと思います。特に、斉藤詔治さんの討論は、大人の味わいがあると感じました。

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私のところへも、市民の方々からメールや電話をいただきました。新庁舎建設の見直しや予防接種・子宮がん検診、フロリデーション、救命士暴行事件等についてです。議会や行政、市長の対応を心配するものが多く寄せられました。また、自民より修正案が出されたことに対し、『新市長に対するいじめですか?』、『ゆさぶりですか』、『野党としての存在感を示そうとしているのか』等の問い合わせと、その対策についてです。

修正案の提出をどう見るかは、人それぞれでどのような意図かは分かりません。ただ一連の経過を見ると、かなり雑な修正案を自民・公明・共産が連携して提出し、何があっても通そうという確認のもとに行われたように感じます。だとすれば、議会での力や存在感を示すメッセージであり、今後の出方によっては協力はしませんよ。ということを伝える事だったのかも知れません。しかし、執行側にとってはそれほど深刻な問題ではなく、決まったことを粛々とやるだけのことだと思います。

全く別の角度から見ると、本来果たすべき議会の権能、議員の役割とあり方を再確認する良い機会になりました。吉川市議会の幕開けであり、議会改革のチャンスが訪れたと言ったら言い過ぎ、褒め過ぎでしょうか。