行政視察

10月19日(木)・20日(金)の2日間、常任委員会合同の行政視察に行ってきました。
4年ぶりの視察です。19日に埼玉県大久保浄水場と東京都荒川区を、20日に狩野川防災ステーションを訪ねました。

さいたま市にある大久保浄水場は日本最級の浄水場で、1日最大13万㎥の給水能力のある施設です。県南中央と県西部地域15市1町の約400万人に利用されています。西は飯能市までです。

県水道局の事業運営ですが、職員96人が交代で夜間も常駐し安全・安心で良質な水を供給しています。埼玉県の人口の半数以上の人が利用している水ですので、供給し続ける責任があります。

施設の概要及び高度浄水事業を動画を交えて説明受け、場内を見学し最後に質疑応答を行い約2時間の研修を終えました。
場内見学はまず屋上から施設全体と大久保浄水場の位置関係を確認し、中央監視室、水質試験室、ろ過地、高度浄水施設建設予定地を視察。その都度説明を受け、質問をしました。

以前、三郷の浄水場を見学したことがありますが、大久保ではケタ違いの規模に驚かされるとともに、職員の使命感が伝わってくるようでした。

荒川区役所では、区内全中学校に設置されている「防災部」の取り組みについて学びました。
「防災部」設立の経緯と主な活動内容、今後の方向性と課題等について教育委員会学務課長よりレクチャーを受けました。

全体を通して受けた印象は、荒川区の着眼・発想・実行力のすごさです。
「助けられる大きな子どもから、助けられる小さいな大人」「自分たちの町は自分たちで守る」という言葉から荒川区の思いが伝わってきます。

全中学校に「防災部」を設け、防災ジュニアリーダーを育成する取り組みは「自分たちの町は自分たちで守る」という防災意識・知識を身に着けるだけでなく、地域と連携した防災訓練等の実施で地域や人を知ることに繋がります。避難所開設時の運営にも役立つことだと思います。

考えれば分かることですが、どこの町もかつての姿ではありません。吉川でいえば、ほとんどの人たちが田畑を耕し、そこで暮らしていた「農村社会」は過去のものです。現在は男女とも市外へ働きに出ています。高校生は市外への通学がほととんどです。

日中、市内にいるのは中・小学生以下と高齢者が中心です。場所と時間を選ばない大規模災害時に、中学生を防災の担い手とする試みは、優れた取り組みだと思います。

数年前、所属する勉強会で荒川区役所を訪ねたことがあります。その時、『区政の究極の目的は区民の皆様の「幸せ」の実現であり、区政は区民を幸せにするシステムである。区では、区民を幸せにするシステムとして、組織的かつ系統的な行政サービスを通じて、幸せを増やし、不幸を減らす取り組みを進めていくことにより、誰もが真に幸福を実感できるあたたかい地域社会を築いてまいります。』と区政のドメインを定めていると伺いました。また、それらを通じて区民からも職員からも選ばれる荒川区にしていくとして、具体的な取り組みについて説明を受けました。移った理由は分かりませんが、吉川市職員から荒川区の職員になった方々もいます。

静岡県函南町にある狩野川塚本地区河川防災ステーションへは、午前8時20分に三島駅前のホテルを出て9時から視察研修に入りました。

国土交通省沼津河川国道事務所 流域地水課課長より塚本地区の「MIZBEステーション」の概要と「塚本地区かわまちづくり」について、また道の駅・川の駅を運営している駅長(責任者)から、川まちづくり7年間の取り組み、運営状況等についてお話を伺いました。その後、各施設を視察しながら「賑わいの創出の難しさ、7年間の苦労等について意見交換をしました。視察と自由時間を含め2時間ほど居りました。

河川防災ステーションは、災害時に緊急復旧活動や水防活動を迅速に行うための拠点となる施設ですが、川面より一段高く盛り土した上面に防災ステーションが設置され、緊急時のヘリポートなども用意されています。また、上面を活用した平時は市町村の取り組みにより地域活性化や賑わいの創出が期待される河川防災ステーションを「MIZBEステーション」として登録しています。塚本地区では、「MIZBEステーション」と「川まちづくり」が一体となった川の駅と道の駅「伊豆ゲートウエイ函南」が連携し、伊豆半島の玄関口となる函南町で、観光・交流、賑わい、憩いの場をテーマに水辺空間での賑わいの創出を進めています。

4~5年前、江戸川水防の視察で狩野川塚本地区河川防災ステーションへ来たことがあります。川の駅と道の駅は営業していましたが、防災ステーションはまだ稼働していませんでした。

今回改めて関係者の話を聞き感じたことは、施設(上物)を作っただけで「賑わい」が生まれ、地域活性化ができるものではないということです。

開設から現在までの集客数は7年間で1000万人を超えたそうです。「通過点だった場所がやっと目的地として認知され、土日などは駐車場に車が止められない状態になった。」「いろいろな催しを行ってきたが、参加者が数人ということが何度もあった。」さらに、台風や大雨で河川敷が流木で覆われたり、道の駅・川の駅が水に浸かったこともあった。と聞きました。

国土交通省、市町村、道の駅・川の駅そして地域との連携・協力の中で、人が求めるイベント等の催しを積み重ねてきた結果だと改めて実感しました。

吉川市の「江戸川防災ステーション」はどう進むのでしようか。